“異様に頭がデカかった”世界初の原子力巡洋艦「誰か解体して!」 退役から36年 ようやく“最終処分”方針 衛星写真でまる見え!

アメリカ海軍は2026年6月17日、原子力ミサイル巡洋艦「ロングビーチ」の最終的な解体・処分に向けた取り組みを開始しました。

野心的な設計の艦として1960年代に就役

 アメリカ海軍は2026年6月17日、原子力ミサイル巡洋艦「ロングビーチ」の最終的な解体・処分に向けた取り組みを開始しました。

拡大画像

原子力ミサイル巡洋艦「ロングビーチ」(画像:アメリカ海軍)

 同艦は世界初の原子力水上戦闘艦として1961年9月に就役し、1995年5月まで運用されました。退役後、核燃料は取り除かれ、原子炉も停止状態となり、2012年にはスクラップ処理のため民間業者へ売却されています。

 しかし、原子炉区画や機関部を含む中央船体については、放射化した機器や構造物の処理が必要なことから解体が先送りされ、2026年現在もピュージェット・サウンド海軍造船所で係留されたままとなっていました。この姿はGoogleの衛星写真などでもはっきり見ることができます。

 今回、アメリカ海軍はこの中央船体の最終処分に向け、輸送・解体・非軍事化・処分を実施できる事業者の選定に着手。作業概要書(SOW)のドラフトを公開し、7月10日まで業界から意見募集を行っています。これは正式な入札ではなく、将来の調達に向けた市場調査の一環とされています。

 同艦は世界初の原子力推進戦闘艦であり、従来艦を大きく上回る長期間の航続能力を備えていました。また、ミサイルを主兵装とする先駆的な艦艇でもありました。

 特に建造当初は「ミサイル万能論」の影響を強く受けており、大口径砲を搭載せず、主要兵装をミサイルで構成するという当時としては革新的な設計が採用されました。

 さらに、本格的なフェーズドアレイレーダーを搭載するため、大型の箱型艦橋(アイランド)を備えていたことも特徴です。その独特な外観は重心が高いトップヘビーな設計として知られていました。

 一方で、その野心的な設計は建造費や維持費の高騰を招きました。結果として姉妹艦が建造されることはなく、同艦は1隻のみの存在となりました。また、ミサイルのみを主兵装とする構成は運用コスト面でも課題があり、後年には近接防空システム(CIWS)が追加装備されています。

 就役期間中には放射線管理上のトラブルや、原子炉冷却材の漏洩事故なども発生しました。

 冷戦終結後の1990年代になると国防予算の削減が進み、空母以外の水上戦闘艦に原子力推進を採用することは費用対効果の面で不利と判断されました。その結果、3回目の燃料交換(核燃料の積み替え)を行わず、1995年に退役しています。

 なお、「ロングビーチ」の退役から約30年が経過した現在、アメリカでは再び原子力推進の水上戦闘艦として「トランプ級戦艦」の建造構想が示されています。

※一部修正しました2026/06/22 13:00

関連記事: