ウクライナがロシアに対しこの戦争で最大規模の空襲を実施、FP
9月20日、ウクライナがロシアに対して長距離ドローン・ミサイル攻撃によるかつてない規模の空襲を仕掛けました。ロシア側は1600機以上の無人機を撃墜したという途方もない数字を報告しています。なおモスクワだけで無人機が450機以上が向かって来たとしています。この攻撃でモスクワ方面ではカポトニャの製油所、ジェルジンスキーの火力発電所、ソフィノの複合物流倉庫などが焼かれています。
そしてウクライナのゼレンスキー大統領はこの攻撃戦果の報告で使用兵器の名前を全て上げており、その中に「Pelican」が含まれています。これはファイアポイント社が開発していたFP-7「ペリカン」弾道ミサイルのことになります。2025年9月4日に開発計画を発表したばかりのウクライナ国産の新兵器がもう完成し、量産されて、実戦投入が開始されました。ただしFP-7ペリカン弾道ミサイルは射程300km(初期計画では射程200km)でありモスクワまでは届かないので、今回はロシアの別の場所への攻撃で使用されています。
- FP-5巡航ミサイル:愛称 "Flamingo" フラミンゴ
- FP-7弾道ミサイル:愛称 “Pelican” ペリカン
- FP-9弾道ミサイル:愛称 “Krechet” クレチェット(シロハヤブサ)
※ファイアポイント社のミサイルの愛称。FP-5の「フラミンゴ」は既に有名だが、FP-7の「ペリカン」とFP-9の「クレチェット」という愛称はまだあまり知られていない。FP-9は開発中で、こちらはモスクワを射程に収める性能となる予定。
※FP-7ペリカン弾道ミサイルは先ず最初に既存の地対空ミサイルをベースにして弾道ミサイルを開発して、そこからまた地対空ミサイル派生型を開発するという経緯となっている。関連記事:ウクライナ国産ファイアポイントFP-7弾道ミサイル派生型の発射試験(2026年6月3日)
ゼレンスキー大統領の報告、2026年9月20日
昨夜、我々の長距離攻撃はモスクワ地域に極めて大きな打撃を与えました。ロシアの主要な石油産業施設の一つと、侵略者の兵站施設が攻撃を受けました。これらは、戦争機械を支える数十億ドル規模の資産です。使用されたシステムには、FP-1、RZ-100、MICH-2000、パリャヌィツィア、ヴェンデッタ、リューティイ、バルス、フラミンゴ、スィーチェニ、ペリカンが含まれます。
正確な攻撃を成し遂げた我々の戦士たち、保安庁、無人システム軍、特殊作戦軍、国防省情報総局、および対外情報庁に感謝します。また、ヴォロネジ州にある施設に対しても制裁が加えられました。モスクワは他の地域を犠牲にして多層的な防空網を構築するのではなく、この残虐な戦争を終わらせて平和の道を選ぶべきです。エネルギーや食料の安全保障といった分野において、緊張緩和に向けた具体的な選択肢は提示されています。今必要なのは、政治的な意志です。ウクライナの長距離攻撃能力の強化に尽力しているすべての人々に感謝します。また、制裁を通じた対応で我々の長距離攻撃を補完してくださっているすべての方々に感謝します。ウクライナに栄光あれ!
- FP-1長距離自爆無人機
- RZ-100モロク長距離自爆無人機
- MICH-2000長距離自爆無人機
- パリャヌィツィア小型巡航ミサイル
- ヴェンデッタ自爆無人機? ※詳細不明
- An-196リューティイ長距離自爆無人機
- バルス小型巡航ミサイル
- FP-5フラミンゴ大型巡航ミサイル
- スィーチェニ長距離自爆無人機
- FP-7ペリカン弾道ミサイル
※太字はミサイル。映像での報告を見る限り、2026年9月20日のモスクワ攻撃ではAn-196リューティイ自爆無人機の飛行中の姿や、FP-5フラミンゴ巡航ミサイルと推定される大きな部品の残骸などが確認されている、(追記:FP-1やRZ-100モロクなども映像で確認。)
※ウクライナ側はパリャヌィツィアやバルスを「Ракета-дрон(ラケータ・ドローン:ラケータとはミサイルの意味)」という種類で呼んでいるが、実態はジェットエンジンで飛行する小型巡航ミサイル。
FP-5フラミンゴ巡航ミサイルらしき残骸
- モスクワ南東20kmで発見、FP-5フラミンゴの残骸の可能性が高い
An-196リューティイ自爆無人機の突入
- モスクワ南東17kmにあるカポトニャ地区の製油所への攻撃
ウクライナ無人システム軍の報告、2026年9月20日
モスクワのカポトニャ地区の製油所(石油大手ガスプロムネフチのモスクワ製油所)は3カ月前の6月18日にも攻撃を受けており、被弾した石油タンクの蓋が空高く吹き飛んだことで注目を浴びた場所です。この時の損傷からろくに復旧できていない状態で、更なる攻撃を被弾して大炎上しています。
関連記事:ウクライナがロシアを長距離ドローン攻撃、モスクワ製油所が炎上(2026年6月18日)
弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人兵器(ドローン)、ロシア-ウクライナ戦争など、ニュースによく出る最新の軍事的なテーマに付いて兵器を中心に解説を行っています。