大卒2年目で“新生レイソル”の主軸に…相手の警戒集まる185cm大型MF熊坂光希「常に高いレベルを求めていかないと」

[3.29 J1第7節 柏 0-0 東京V 三協F柏]

 ここまでJ1リーグ戦7試合全630分間にフルタイム出場。柏レイソルで大卒2年目を迎えたMF熊坂光希が飛躍の時を迎えている。「ボランチでこの身長は武器だと思うし、活かさないといけない。それを試合でしっかり出せるようにしたい」。日本では希少性の高い185cmの上背を持つセントラルMF。7月のEAFF E-1選手権では国内組の日本代表抜擢が予定されている中、十分に有力候補と言えるほどのパフォーマンスを続けている。

 東京Vをホームに迎えたJ1第7節は、これまでに熊坂が残してきたインパクトの大きさをあらためて感じさせる一戦となった。

 この日の東京Vは試合序盤から、今季初先発のボランチMF平川怜が高い位置を取り、柏の中盤の底で組み立てを担う熊坂をマンマーク。柏のビルドアップの要所となる23歳に対し、明確な警戒シフトを敷いていた。そうした中で熊坂は「自分に来ているのでそのぶん裏のスペースがあるし、自分に来させてそこを使うのを意識していた」という狙いを持っていたものの、立ち上がりはやや窮屈そうにプレー。チャレンジングな縦パスがインターセプトされ、ミドルシュートのピンチを招く場面もあった。

 それでも落ち着きを失わず、同じミスを繰り返さないのはさすがだった。その後はCBの古賀太陽を中心に粘り強くボールを動かし、東京Vのプレッシングをやり過ごしていく中、熊坂はあえてマークを引き受けるポジショニングで味方への配球をサポート。パスがつながらなかった際には持ち味のボール奪取力を活かして狩り取る場面も見せるなど、流れの良くない前半を0-0で締める役割を全うした。  そして後半からはMF渡井理己の投入によってビルドアップの出口が増えたことで、熊坂へのマークが分散。その後は普段どおりのタスクに集中すると、後半19分には左ハーフスペースの高い位置に顔を出し、MF原川力との連係からDF小屋松知哉の決定機も演出するなど、終わってみれば上々の存在感を示す90分間となった。

 今季から就任したリカルド・ロドリゲス監督のもと、7試合フル出場を通じて「より相手を見ながらパスやポジショニングを変えられるようになってきた」という手応えを重ねる熊坂。指揮官からは「相手の嫌なところに立ってビルドアップを助けるところと、守備でしっかりフィルター役になることを求められている」というが、最近の試合では攻撃で高い位置に顔を出す場面も増え、「自分が得点を取れれば攻撃に厚みを増すのでチャレンジしながらやっていきたい」とプラスアルファの成長も追い求めている。

 そうした充実した日々の背景には、ケガに苦しんだ高校時代の積み重ねも活きているようだ。「今のサッカー自体はレイソルユースの時からやってきたサッカーに似ている部分もあって、自分が一番力を出せるサッカーだと思う。今季は開幕からずっとフルで出ているので楽しくやれている」。柏U-18時代は2年時の大ケガもあり、高円宮杯プレミアリーグEAST出場は1試合のみ。それでも遅咲きの23歳は大学経由での帰還を経て、国内トップレベルの舞台を楽しめるほどにまでなった。  さらにこのままの活躍が続けば、7月に韓国で行われるEAFF E-1選手権の日本代表入りも現実的な目標だと言える。特にボランチは近年、伊藤敦樹、川村拓夢、佐野海舟ら国内組からの抜擢が積極的に行われてきたポジション。フルメンバーには遠藤航、守田英正、田中碧といった盤石な主力が並ぶものの、4人目に食い込む選手層は欧州組を含めても厚くはなく、明確な武器を持つ選手の台頭はなおも望まれるところだ。  そうしたステップアップの期待も高まる熊坂だが、現時点では「そこに食い込んでいくようなところはまだ自分の中では見えない」と苦笑い気味に話し、E-1選手権に向けても「あまり気にしていない。まずは目の前の試合、自分のプレーに集中して、それで代表に呼ばれればいいなと思う」と謙虚な姿勢を崩さない。  それでも自らに課す基準は高いものを持ち続けている。「ゴールやラストパスなどそういうものを出せる選手であったり、守備でも一人で守れる選手になりたい。そこでは常に高いレベルを求めていかないといけない」。まずはその基準をJリーグでコンスタントに発揮することが目標。「レイソルでいいプレーを続けていくことが大事。1試合1試合を大事にしていきたい」と地に足をつけて日常を過ごし、その先に代表の舞台を見据えている。 (取材・文 竹内達也)★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!●2025シーズンJリーグ特集

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