トランプ氏の“稼ぎ”は1年で約3500億円…「政府に腐敗が蔓延」に89%が「YES」回答の米国民、イラン戦争「取るに足らない」発言でも深まる政治不信(デイリー新潮)

 トランプ氏は9月4日、記者団に対し、中間選挙で共和党候補を支援するため、自身の特別政治活動委員会(スーパーPAC、政治資金管理団体の1つ)から4〜5億ドルを拠出する計画を明らかにした。自身のスーパーPACに約10億ドルの資金があると説明している。  先に共和党内では、この資金が中間選挙対策用として配分されないのではないかと懸念する声があった。トランプ氏は具体的な数字に言及することで、この懸念を払しょくしたことになる。  トランプ氏は2日にも、中間選挙を控えた最後の1カ月間、接戦が予想される州を精力的に遊説する計画を明らかにした。

 中間選挙で共和党が勝利するためには、経済の好調さを維持することが絶対条件だ。皮肉にも、トランプ関税の還付が消費の下支えになっているようだ。  日本経済新聞は4日、米連邦最高裁が違憲と判断したことで米政府から返還される関税(3億8300万ドル、利息分を含む)分を米小売企業が値下げの原資として利用する事例が相次いでいると報じた。  トランプ氏は失策の挽回にも努めている。  トランプ氏は2日、アメリカン航空など主要な旅行関連企業の幹部と会談し、米国を訪れる外国人旅行客の減少傾向を反転させる方策について協議した。関税措置やトランプ氏の問題発言が災いして、海外からの渡航者が減少したことを受けての対応だ。  だが、会議は開かれたものの、実情としては妙案がない。足かせとなっているのは、イラン戦争に起因する燃料価格の高騰だ。

 米国のディーゼル価格は4日、過去最高値を更新した。全米自動車協会(AAA)によれば、米国内価格は1ガロン=5.85ドル(約913円)となり、これまでの最高値だった2022年6月19日の5.81ドルを上回った。  中東産原油の供給減に加え、石油精製能力の世界的な不足がその主な要因だ。ディーゼル燃料はトラック輸送や農業機械、工場設備などで広く使われているため、今後、インフレが加速する可能性が高まっている。    ベッセント財務長官は2日、世界的なエネルギー価格上昇の一因として、ロシアのエネルギー施設に対するウクライナのドローン攻撃を挙げた。ウクライナのせいで世界第2位のディーゼル輸出国であるロシアからの供給量が減り、米国内の格が高騰しているというわけだ。  トランプ氏は1日、米国石油企業の幹部が参加した非公式会合で、ガソリンとディーゼル価格の国内生産を増やすよう求めた。だが、石油企業の精製能力を増加するには時間を要し、中間選挙までに燃料価格が下がる可能性は低いと言わざるを得ない。  ガソリンばかりか、ディーゼルの値段まで高騰する状況は、中間選挙で共和党に不利に働くのは間違いないだろう。


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 苦戦を強いられるトランプ政権は9月に入り、イラン戦争自体を矮小化する動きに出ている感がある。  戦闘で米軍兵士が18人も死亡したにもかかわらず、ラトニック商務長官は2日、「死亡した米軍兵士はいない」と述べ、その翌日に発言を撤回する醜態をさらした。  次にバンス副大統領は3日、大規模な戦闘は数カ月前に終了とした上で、「戦争と表現しない」との見解を示した。そして4日には、トランプ氏がイラン戦争は「取るに足らないこと」と述べた。  トランプ氏の放言癖も止まらない。  トランプ氏は2日、「米国の支配下に入った今、ホルムズ海峡の名前をトランプ海峡に変えるべきかな?」と自身のSNSに投稿した。米軍はホルムズ海峡での支配力を徐々に強めているが、同海峡を巡る情勢は依然として緊迫したままだ。

 トランプ政権の不誠実な対応をみるにつけ、イラン戦争に対する米国民の不満は高まるばかりだろう。  日本にとって気がかりなのは、トランプ政権の厭戦気分が中東情勢に与える悪影響だ。  日本経済新聞は4日、イランとの軍事衝突を受け、中東に駐留する米軍の体制縮小が現実味を帯びてきたと報じた。さらなる打撃を回避するため、米政府で湾岸の軍事施設を前線から後退させる案が浮上している。  中東地域の安全保障を担ってきた米軍のプレゼンスが低下する事態となれば、中東産原油に依存する日本にとって一大事だ。

 筆者が注目しているのは、米国民の間で広がる政治不信だ。  米ネットメディアのアクシオスは2日、世界最大の世論調査「ギャラップ・ワールド・ポール」の結果を引用し、米国政府に腐敗が蔓延していると回答した米国民の比率が昨年比10ポイント上昇の89%と、過去20年間の調査で最高を記録したと報じた。  ギャラップの調査では回答の理由を聞いていないが、トランプ氏やそのファミリーの利益相反ぶりが影響しているのは確実だ。  アクシオスが引用した米連邦政府の資産開示書類の分析によれば、トランプ氏が昨年に事業や資産から得た収入は少なくとも22億ドル(約3466億円)で、2024年の約6億ドル(約945億円)の3倍を超えている。ホワイトハウスはトランプ氏の汚職対策の取り組みを強調しているが、米国民が耳を傾けるとは到底思えない。 「民、信無くば立たず(論語)」ではないが、国民の為政者への信頼がなくなれば、国家の運営は立ち行かなくなるのではないだろうか。同盟国である米国の今後の動向は日本の行く末を左右する。引き続き高い関心を持って注視すべきだ。 藤和彦 経済産業研究所コンサルティングフェロー。1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。2026年3月末日で経産省を退職。 デイリー新潮編集部

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