上司が迫った「発達障害は直せ」 大学でASD診断、就職で壁

発達障害の当事者で心理師としても活動する滝沢颯大さん=札幌市中央区で2026年1月6日午後8時34分、森原彩子撮影

 「これはどういうことだ」

 2021年のある日。自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)を持つ滝沢颯大(はやと)さん(32)=北海道小樽市=は、当時勤務していた障害福祉施設で上司に呼び出された。

 示されたのは、数日前に開かれた職員研修後に記入した参加者アンケートの回答用紙。

 滝沢さんは「気がついたことがあれば、ご自由にお書きください」という欄に、A4用紙4枚分にわたり開催形態や当日の対応の改善策を書き込んでいた。

 問いかけの意図をくみ取れず、「『どういうこと』ってどういうことですか?」と返した。

 だが、組織を正面から批判するような回答だと受け止めていた上司を前に、火に油を注ぐようなものだった。

 「発達障害は性格と同じだ。直せ」と責められた。

 こうしたトラブルは今回が初めてではない。「人と関わると何かしら良くないことが起こる」。そう語る滝沢さんは、この一件を機に別の部署への異動を言い渡された。

 障害がある従業員への合理的配慮が企業に義務づけられてから10年。身体・知的障害などに比べ、発達障害への理解は不十分なままです。北海道から課題と方策をリポートする全5回企画の2回目です。 1回目 ADHDなど特性を「多様性」に 人材戦略、地方企業に浸透せず 次回 進む合理的配慮 企業の取り組み 30日15時に公開予定です

大学で気づいた発達障害

 滝沢さんは高校の先生に勧められ、大学で心理学の道に進んだ。

 発達障害に関する講義を受ける中で、「やたらと自分に当てはまるな」と感じるようになり、後にASDとADHDの診断を受けた。

 一見、「普通の人」に見え、思考力が求められる仕事もこなせる。

 一方、「字義通り受け取る」「0か100かで(極端に)考える」「ルールに厳しく、正論をぶつける」といった特性により、人間関係がうまくいかない経験…

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