トランプ氏復権で貿易戦争再燃か、迎え撃つ中国側陣容はこんな顔ぶれ

トランプ前大統領のホワイトハウス返り咲きで、米中貿易戦争が再燃する可能性が強まっている。貿易戦争がエスカレートして交渉が必要になる場合、中国側は政府当局の要人が米国側と相対する見通しだ。

  その可能性がある要人を以下に紹介する。

何立峰副首相

  何副首相(69)は中国共産党中央政治局委員で、米中貿易・経済問題の中国側窓口を務めている。前任の劉鶴氏は、トランプ政権1期目の貿易戦争で中心的な役割を担った。

  米ハーバード大学で学んだ劉氏に対し、何氏はアモイ大学の経済学博士号を持つ。

  習近平国家主席とは1980年代にアモイで党当局者として共に働いて以来の知り合いで、腹心の1人とされる。トランプ政権1期目の貿易交渉に直接参加することはなかったが、経済政策の立案を担う国家発展改革委員会(発改委)に在籍しており、この経験がトランプ政権への対抗策練り上げに生かされるかもしれない。

王文涛商務相

  中国で伝統的に貿易関連の対応を担う商務相には、王文涛氏(60)が就いている。王氏は金融センターの上海や斜陽化した工業地帯の黒竜江省、内陸の雲南省など、中国各地で勤務した経験を持つ。

  電気自動車(EV)セクターの中国勢の優位は過剰生産能力と政府支援によるものだとの批判に対し、王氏はイノベーションと先進的なサプライチェーン、激しい競争のたまものだと反論している。

  今年前半にはアップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)ら世界トップ企業の幹部と会談し、地政学的な緊張が高まるなかで減速する対中投資の押し上げを図った。

王受文・商務次官

  商務次官の王受文氏(58)は、トランプ政権1期目の交渉に参加した。中国政府の国際貿易交渉代表で流ちょうに英語を話す王氏は当時、中国は米国の「脅し」には屈しないと発言した。

  王氏は商務省で北米問題を統括していたことがあり、マリサ・ラーゴ商務次官(国際通商担当)と貿易に関する作業部会の共同議長を務めている。この作業部会で王氏は、米国が中国を主要な半導体技術から切り離そうとしていると懸念を表明した。

  国際貿易交渉の副代表を務める凌激、李詠箑の2人も対米交渉に関与する可能性がある。凌氏はEUが最近導入した中国製EVへの追加関税を巡る問題に取り組み、李氏は条約や法律関連の部局で昇進を重ねた。

潘功勝・人民銀行総裁 

  中国人民銀行(中央銀行)の潘総裁(61)は、成長減速のかじ取りと、およそ60兆ドル(約9350兆円)に上る金融システムの保護に尽力している。

  潘氏は銀行セクターや為替レートなどの分野の改革を推進し、問題解決の手腕に優れているとの評価を勝ち得た。9月にはデフレの瀬戸際にある経済を立ち直らせるため、広範な金融刺激策を発表。輸出振興に向け元安を容認するのか、するとすればどの程度かを巡る中国内の議論で、同氏は中心的な役割を果たす公算が大きい。

廖岷・財政次官

  廖財政次官(55)は人民銀行や銀行規制当局など、金融業界で幅広い勤務経験を持つ。英語も流ちょうで、1期目のトランプ政権に相対した交渉チームの主要メンバーでもあった。劉鶴氏の補佐役として米国を訪問し、ホワイトハウスで当時のトランプ大統領と会談した。

  比較的最近では、4月に中国を訪問したイエレン米財務長官に挨拶し、先月にはワシントンでシャンボー財務次官と会談した。この訪米時に廖氏は、米国の関税やロシアのウクライナ侵攻に関連した制裁を中国は懸念していると述べていた。

その他の可能性

  これ以外では、米国の当局者や実業家に対応した経験のある趙辰昕副主任も交渉で役割を担う可能性がある。

  外務省が交渉に関わるかは不明だが、可能性があるなら馬朝旭外務次官か。米国側とここ数年、頻繁にやり取りしている馬氏は、将来の外相候補とも見なされている。

原題:Xi’s Key Players to Lead China in Another Trump Trade Fight (1)(抜粋)

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