【日本市況】中長期債が上昇、中東情勢警戒と入札好調-株式は下落
19日の日本市場では中長期を中心に債券が上昇した。米当局者らが数日以内にイランに攻撃する可能性に備えているとの報道を受けてリスク回避の買いが先行。この日行われた5年利付国債入札が好結果となったことも追い風になった。
匿名を条件に語った関係者によると、米国が週末にイランを攻撃するシナリオを指摘する向きもある。リスク資産の株式は反落。円は対ドルで一時買われた。
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5年利付国債入札では、投資家需要の強弱を反映する応札倍率が4.58倍と、2023年7月(4.68倍)以来の高水準となった。
りそなアセットマネジメントの藤原貴志チーフファンドマネジャーは、「入札は応札倍率が高くしっかりした結果」と述べ、「米国がイランを攻撃する可能性が出ており、リスクオフで金利が低下することを見込んで手当てしたのではないか」と話した。
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19日の国内債券・株式・為替相場の動き- 長期国債先物9月物の終値は前日比47銭高の139円33銭
- 新発10年債利回りは4.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低い1.41%-午後3時時点
- 東証株価指数(TOPIX)の終値は前日比0.6%安の2792.08
- 日経平均株価は1%安の3万8488円34銭
- 円は対ドルでニューヨーク終値比0.1%安の145円28銭-午後3時46分現在
債券
債券相場は中長期債を中心に上昇。この日の5年利付国債入札を受けて買われた。一方、30年債は超長期債の発行減額が各年限1000億円との報道を受けて失望売りが出た。
財務省は25年度の国債発行計画を見直し、超長期債の発行を減額する見込み。20年、30年、40年の各年限で、7月から1回当たりの発行額を1000億円減らす。2年債と割引短期国債の増額で対応する。関係者によると、買い入れ消却については20日の国債市場特別参加者(プライマリーディーラー、PD)会合で当局の考え方を説明する。
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三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーは、30年債は2000億円減額を期待する向きもあったようで、期待が外れたことで売られたと言う。一方、5年債は入札結果に加えて発行増額が見送られたことで買われたと述べた。
野村証券の岩下真理エグゼクティブ金利ストラテジストは、報道内容は予想通りだったとした上で、既発債の需給が完全に回復するわけではないため、市場は「落ち着くが元の金利水準には戻らない」と指摘。当面は「どのイールドがフェアバリューかを模索する時間帯になりそうだ」と述べた。
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債 0.720% 0.955% 1.410% 2.355% 2.945% 3.075% 前日比 -2.5bp -5.0bp -4.5bp -3.0bp +1.5bp -1.5bp株式
株式相場は反落。中東情勢への警戒感からリスク回避の動きが広がり、売りが出た。米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策金利据え置きを受けて米国の関税政策による景気悪化も改めて意識された。
電気機器や自動車など輸出関連株のほか、化学など素材が下落した。小売りや陸運などの内需系は堅調だった。
アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは、「米国で関税前の駆け込み需要がそろそろ息切れする可能性があり、自動車などの耐久財は心配な部分が今後出てくる」とみる。一方、内需銘柄は相対的に関税リスクが低く、バリエーションも過度に高くないため物色されやすいと述べた。
為替
外国為替市場の円相場は1ドル=145円台前半で推移。米国によるイラン攻撃への警戒からリスクオフで円が買われた後、ドルの買い戻しが徐々に優勢になった。
みなと銀行の苅谷将吾ストラテジストは、中央銀行の金融政策決定会合が終わりイベントが一巡したほか、米国市場は休場で動意が出づらくなっていると話す。ドル・円は145円台では戻り売り圧力が相当強いとも述べた。
19日の米国市場は奴隷解放記念日「ジューンティーンス」の祝日で株式や債券など一部が休場となる。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。