北朝鮮情勢や羽田孜外相訪中 1994年の外交文書、6800ページ公開
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外務省は24日、外交文書17冊6800ページ超を一般公開した。1994年の細川護熙、村山富市両内閣当時の記録が中心で、細川氏の米国訪問では核開発計画を進める北朝鮮情勢が日米首脳会談の柱となった。中国側が、日本と台湾の要人往来は許されないと強くけん制する様子を記した羽田孜副総理兼外相訪中のほか、日米包括経済協議、主要7カ国首脳会議(G7ナポリサミット)に関する資料なども含まれている。〔共同〕
対北朝鮮、不測事態想定を 米政権が細川首相に伝達
1994年2月の日米首脳会談でクリストファー米国務長官が、核開発計画を進める北朝鮮への対応を巡り「コンティンジェンシー(不測の事態)を考えておく必要がある」と細川護熙首相に伝えていたことが24日公開の外交文書で判明した。
国際原子力機関(IAEA)の核査察受け入れを巡る協議が難航。北朝鮮は翌3月に「戦争が起きればソウルは火の海になる」と警告し、緊張が高まった。米側は北朝鮮の暴発などを視野に入れていた可能性がある。
細川氏は24日までに共同通信のインタビューに応じ、帰国後に石原信雄官房副長官を呼び「大至急、対応を検討してほしい」と指示したと証言。日本が有事法制を整備する転機となった。
2023年に死去した石原氏は、クリントン米大統領が細川氏に対し、経済制裁の一環で米軍による北朝鮮周辺の海上封鎖を検討していると明かし「北朝鮮が機雷をまく可能性がある。除去を頼みたい」と米軍への支援を打診したと話していた。
会談は2月11日、米ワシントンで昼食を交え行われた。極秘指定を解除された文書によると、同席したクリストファー氏が、核査察を巡り「北朝鮮はかたくなな態度を変えず、IAEAの保障措置に同意しない可能性が(あ)る」と説明。偶発的な出来事に備えておく必要性に言及し、制裁を科す場合「日本の協力は非常に重要だ」と呼びかけた。
細川氏は、北朝鮮が93年に発射した日本をほぼ射程に入れる中距離弾道ミサイル「ノドン」と核兵器開発が結び付けば極めて危険な状況になるとの認識を表明。「制裁を行う事態になれば、国内法で可能な範囲内においてできる限り責任のある対応を取る」と答えた。
日本政府は、どのような米軍支援が可能か検討に本格着手したものの、憲法の制約や当時の法制では対応が難しいことが分かり、自衛隊と米軍の協力の在り方を規定した日米防衛協力指針(ガイドライン)改定などの動きにつながった。
別の文書では94年7月、イタリアで主要7カ国首脳会議(G7ナポリサミット)開催中、北朝鮮の金日成主席が死去したと報じられ、参加国首脳らが情報収集に当たる生々しい様子も記録されている。
北朝鮮の核開発計画を巡る緊張は、核開発凍結と関係改善への道筋を定めた10月の米国との枠組み合意でいったん収束に向かった。〔共同〕
米ワシントンに向けて出発する当日の1994年2月10日午前、大森義夫内閣情報調査室長らから北朝鮮核危機を巡り、制裁が必至となった場合、わが国の現行法上でどこまで対応が可能かについての検討状況の中間報告を受けた。国内的な制約を理由に拱手(きょうしゅ)傍観しているわけにはいかないと思った。
ただ訪米前に事務方からは「日米包括経済協議が大変だ」と聞いていたので、11日の日米首脳会談は経済問題が中心になるのだろうという気持ちで臨んでいた。経済分野が議題となった少人数会合ではクリントン米大統領は難しい話は持ち出さなかった。
その後の昼食を兼ねた会合で北朝鮮情勢が話題になり、クリストファー米国務長官が不測の事態に言及した。情勢は緊迫しており、大変深刻だと思った。米側からは「北朝鮮で事が起こった場合、日本はどのような対応を取ってくれるのか」という話があった。
国連安全保障理事会の決議に基づき北朝鮮に経済制裁するとなれば「日本として、国内法で可能な範囲においてできる限りの対応を取る」と答えたが、その時点で具体案はなかった。
帰国してすぐ石原信雄官房副長官に「朝鮮半島の問題は深刻に考えないといけない。大至急、対応を検討してほしい」と指示した。
北朝鮮が93年5月に日本海に向けて発射した中距離弾道ミサイル「ノドン」の射程が(日本をほぼ射程圏内に収める)約1500キロあるのは知っていた。
朝鮮半島情勢が緊張していた1994年、石原信雄官房副長官の下にほぼ全ての省庁が集められ、有事に備えたコンティンジェンシー・プラン(危機対処計画)の策定を進めた。私は外務省総合外交政策局総務課長として省内調整に携わった。
主な検討課題は米軍の支援と邦人退避だった。米側からは日本周辺の朝鮮半島で有事が起きた時に提供を求められる武器や弾薬、医療物資といった膨大なリストが渡された。ただ当時の法制度では対応できないことばかりで困ってしまった。
韓国のソウルでは多くの邦人が暮らしているが、北朝鮮は「戦争が起きればソウルは火の海になる」と言っていた。有事に民間チャーター機を使うのはまず無理で、自衛隊の航空機や艦船も使えなかった。こうした経験、課題が後の自衛隊法改正などに反映された。
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