老けないフラミンゴから学ぶ、生活習慣と老化の研究

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動くことが老化を遅らせる?

フラミンゴってみんな同じように見えるんですが、実は個体ごとに生き方は大きく異なります。フランスのカマルグ地域では、一生同じ場所に留まるフラミンゴもいれば、地中海沿岸を渡り歩くフラミンゴもいます。そしてフラミンゴの研究に当たった科学者チームは、この二つのグループの老化の仕方が異なるとの見解を示しました。

8月25日にPNAS 誌に発表された新しい研究によると、毎年カマルグからイタリア、スペイン、北アフリカへ渡る「渡りをするフラミンゴ」は、渡りをしない「定住型のフラミンゴ」よりも老化の速度が遅いことがわかったのです。

フラミンゴの移動習性と老化スピードの関係

この発見は、移動行動と老化の速度を結びつけるものでした。生物学の永遠の問いである「なぜ生物には寿命があるのか?」「なぜ種によって寿命が大きく違うのか?」をさらに謎にするものになったのかもしれません。

オックスフォード大学のポスドク研究員で共著者のHugo Cayuela氏は

老化速度の変化の原因を理解することは、古代から研究者や哲学者を悩ませてきた問題です。長らく、この違いは種と種の間で生じるものだと考えられていましたが、近年では同じ種の中にも違いがあることがわかってきたのです。

と語っています。

同じ種でも異なるライフスタイルと寿命

Cayuela氏によると、近年の研究で遺伝・行動・環境要因の違いによって、同じ種のなかでも老化の速度が大きく異なることが明らかになってきたといいます。カマルグのオオフラミンゴは長寿で多様な行動をするため、老化研究に理想的な「被験者」となっています。

研究チームは、トゥール・デュ・ヴァラ研究所が40年以上にわたり行なってきたフラミンゴの標識・追跡データを解析。地中海沿岸で暮らす1,840羽のオオフラミンゴ(渡りをする個体・しない個体)の死亡率と繁殖パターンを比較しました。その結果、定住型の個体は若い頃の死亡率が低く、平均で6.7年寿命が長いことがわかりました。

一方で渡りをする個体は定住する個体と比べて老化が始まる時期が約1年半遅く、老化速度は40%も遅いことが判明しました。

さらに繁殖の面でも違いがあり、定住型は若い頃に繁殖の確率が高いものの、加齢に伴う繁殖率の低下が急激であることがわかりました。渡りをする個体は若いうちの繁殖機会は少ないものの、長期的にはより安定して繁殖を続けられる傾向が見られました。

定住型は若い時期に繁殖できますが、その代償として寿命が短くなり、後年の繁殖成功率が低下します。渡りをする個体は、早期の繁殖を犠牲にしても、その後の生存と繁殖で有利になります。

と、共著者で研究者のJocelyn Champagnon氏は述べています。

行動が生物学を形づくる

この違いは、おそらく若い頃のパフォーマンスと老後の健康とのトレードオフに関連しています。定住型は若い時期を激しく生きますが、その代償を後で払うのです。一方、渡りをする個体はよりゆっくりと老化します。

と、フランス国立科学研究センターのポスドク研究員Sébastien Roques氏は語ります。

研究チームは、今回の結果が「渡りは若い時期に不利な面があるものの、長期的には老化や繁殖力の衰えを遅らせる」ということを示していると結論づけました。つまり、行動の選択が生存や繁殖だけでなく、老化の形や速度にも影響を与えるということです。

「私たちの研究は、移住や早期の繁殖といった人生の早い段階での選択が、その後の老化の形に影響することを示しています」とChampagnon氏は言います。今回の結果をそのまま人間に当てはめることはできませんが、将来的には人間の移住と老化速度の関係を探る研究につながるかもしれません。

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