トランプ氏の銅関税、半製品にも適用へ-電力網や軍事に影響の可能性
- 電力網や軍事、データセンターで使われる素材も対象に-関係者
- 安全保障上の理由で半製品も対象に、加工業者や電力供給に影響懸念
トランプ米大統領が導入を計画している50%の銅輸入関税は、電力網や軍事、データセンターなどで使用される素材を含む半製品も対象となる見通しだ。事情に詳しい関係者が明らかにした。
関税の詳細はまだ公表されておらず、計画は変更される可能性があるが、関係者によれば、銅線や銅板、銅管などの半製品が対象に含まれる方向で調整が進んでいるという。これまでは課税対象は精錬銅が想定されていたが、半製品が含まれるかどうかは不透明だった。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の銅先物はアジア時間11日早朝の取引で一時1.3%上昇した。
トランプ氏は8月1日に銅関税を導入すると表明しており、米経済の広範な分野でコスト増加の影響を及ぼすと見られている。銅は消費者向け電子機器や自動車、建設、軍事に至るまで幅広く利用されている。
今回の関税措置は、米国の銅供給網を強化することを狙ったもので、採鉱・精錬・加工からリサイクル、半製品や最終製品の製造までを含むサプライチェーンの強化を目的としている。
米国が最も多く輸入しているのは、含有率99.993%以上の精錬銅で、昨年は90万8000トンを輸入。これは加工業者が銅棒や銅ケーブル、銅合金を製造するために使用している。
北米最大の銅加工業者はサウスワイヤで、米軍基地や海軍艦艇向けの銅線を供給している。同社はコメントの要請にすぐには応じなかった。
米銅開発協会は、通商拡大法232条に基づく商務省の調査に3月31日付で提出した意見書の中で、銅の半製品を米国の軍産供給網における重要な要素と位置づけた。
米国の国内生産だけでは銅の需要を賄いきれず、精錬銅とは別に、昨年は約80万トンの銅および銅合金の半製品が輸入されたと、コンサルティング会社MMマーケッツは試算している。
同社の共同創業者クリスティナ・カルマン氏は、安全保障上の理由から、半製品にも50%関税が課されると予想。外国からの銅や半製品の供給が滞れば、米国の電力供給にも大きな支障が出る恐れがあると指摘した。
カルマン氏は「現在の生産能力では、国内の加工業者が80万トン以上の半製品を追加生産することはできず、新たな生産能力の整備には最大7年かかる可能性がある」と述べた。
原題:Trump’s 50% Copper Import Tariffs to Include Semi-Finished Goods (抜粋)