川崎重工、ロボット企業へトランスフォーム 全事業にフィジカルAI
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- 川崎重工業は今後4年間でロボット事業に5500億円を投じます
- 船舶や航空機など全製造現場に、フィジカルAIを投入します
- 熟練工の不足を補い、生産性向上とロボットの外販で成長を目指します
※要約は生成AIで作成し編集者が確認しています
川崎重工業がロボット事業に集中投資する。今後4年間で5500億円を投じ、船舶や航空機などすべての製造現場にフィジカルAI(人工知能)を投入する。主力事業の生産性を高めるとともに外販で稼ぐ「ロボ総合重工」へのトランスフォームを進める。
羽田空港を望む同社のロボット開発拠点で6日、中長期経営戦略に関する説明会が開かれた。会場ではヒト型ロボット「Kaleido(カレイド)」がコンテナを運ぶ作業や中身の分別を実演した。
四足歩行の造船用ロボットは鉄の壁を登りながら溶接するデモをみせた。熟練工の不足を補い、溶接工程の生産性を2倍に高められるという。高齢者の見守りなどに使う犬型ロボットも初公開した。
「フィジカルAIは造船も防衛も航空も変えていく」。橋本康彦社長は説明会で2031年3月期の連結売上高を26年3月期比で4割増の3兆3000億円にする目標を新たに示した。従来目標は3兆円超だった。けん引するのがロボットを使ったフィジカルAIだ。
1969年から産業用ロボットを手がける川重だが、同事業は社内で長らく傍流とみられてきた。花形の航空宇宙事業と比べると現在も事業規模は小さい。2026年3月期の事業売上収益は929億円と連結全体の4%にとどまる。
橋本氏は20年、ロボット出身として初の川重社長に就任した。「川重のスティーブ・ジョブズ」と言われた発想力を買われての抜擢(ばってき)だった。コロナ禍で主力事業が低迷する中、地道にロボット活用を進めてきた。
川重の事業戦略はライバルと異なる。IHIはこの2年でボイラーなど10事業以上を譲渡・清算した。三菱重工業も物流機器の三菱ロジスネクストを売却するなど、先んじて事業の多角化が企業価値を押し下げる「コングロマリットディスカウント」解消に取り組んできた。
一方、川重は伝統的に事業部の発言力が強い。21年に鉄道車両事業と二輪事業を分社化。二輪では伊藤忠商事の出資を一部受け入れたが、それ以上の構造改革にはつながらなかった。
フィジカルAIの技術革新によって構造改革の出遅れが逆に好機に変わった。幅広い事業を抱える複合経営はAIに欠かせない多様なデータを自前で確保できる利点となる。26年5月には川重が持つ現場データを求める米エヌビディアとの協業を決めた。
ロボット導入は人手不足対策としても有効だ。熟練工の育成には時間がかかる。経験や勘といった暗黙知をAIに落とし込み、人手不足に悩む重工業の需要に対応する。
日本を含む世界のロボットメーカーには専業が多い。川重のような総合重工メーカーが手がけるのは珍しい。川重でヒト型ロボットなどを担当する加賀谷博昭執行役員は「社内の様々な現場で本当に使えるロボットシステムを構築できる」と利点を話す。
投資拡大に対応しようと、川重は7月、新株予約権付社債(転換社債=CB)と公募増資で計約2000億円の調達に踏み出した。増資は30年ぶりだ。
ただ事業ごとに明暗が分かれる。ロボット投資を進める造船の主力拠点である坂出工場(香川県坂出市)には35年までに1000億円を投じる。同工場の売上収益を約3倍の2000億円超に伸ばすとした。
一方、世界的な脱炭素の後退で水素需要は足踏みが続く。30年に水素関連の事業規模を4000億円に伸ばす目標を掲げていたが今回、2000億円に引き下げた。
防衛や造船の好調から27年3月期の連結純利益は前期比6%増の1150億円と、3期連続の過去最高を見込む。既存事業が好調なうちにロボットや水素という新技術への種まきを急ぐ。
川崎重工は31年3月期の事業利益率を10%超と26年3月期比4ポイント引き上げる目標を掲げる。構造改革で先んじた三菱重工の同率はすでに9%、IHIも営業利益率が10%に達する。ロボットに成長を託すトランスフォームで収益面でもライバル抜きを狙う。
(新田栄作)
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