宝塚宙組トップ芹香斗亜「私の人生で、一番ときめくものが宝塚」 サヨナラ会見一問一答
宝塚歌劇団宙組トップスター、芹香斗亜(せりか・とあ)の退団公演「宝塚110年の恋のうた」「Razzle Dazzle(ラズル ダズル)」が27日、東京宝塚劇場(千代田区)で千秋楽を迎えた。サヨナラショーの直後、男役の象徴である黒燕尾服姿で会見した芹香は、男役として生きた18年間を振り返り、「私の人生で一番ときめくものが宝塚」と万感の思いを語った。一問一答は以下の通り。
これからも自分らしく
――サヨナラショーを終えた今の気持ちは
「皆さまには本当にお世話になり、感謝の気持ちでいっぱいです。たくさんの学びを得た宝塚を離れるのは、少し寂しい気持ちもありますが、これからも自分らしく歩んでまいりたいと思います」
――宝塚はどんな場所だったか。今後の予定は
「まだ実感がなく、またお稽古が始まるのではないかと思っちゃうんですけれど。私の人生で一番ときめくもの、それが宝塚だと思っています。
今後は、私は学ぶことが好きなので、宝塚でも本当にたくさんの学びを得ましたが、まだまだ知らない世界がたくさんありますし、自分が学べることを探していきたいと思います」
――最後の挨拶は黒燕尾服だった
「宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)でも黒燕尾で、ご挨拶をしているとき、黒燕尾がしっくりくると思ったので。(今回の)公演で黒燕尾を着るシーンがなく、またファンの皆さんが『黒燕尾が好き』と言ってくださる声がとても多いので最後に、この姿をお見せしたいと思いました」
――男役については
「私は背も高いですし、小柄な男役に比べると苦労は少なかったと思います。舞台人として誠実に舞台に向き合う、役で何を表現したいのか、作品で何を表現するのか、イコール男役につながり、それを突き詰めてきたと思います」
会見の冒頭、「宝塚を離れるのは、少し寂しい」と話した芹香斗亜=27日、東京都千代田区の東京宝塚劇場(高橋朋彦撮影)心残りはない
――サヨナラショーの選曲に込めた思いは
「私が伝えたい言葉、好きだった曲をリストアップしたら、私が今、伝えたい全てが曲の中に含まれていると思いました。
(サヨナラショー最後に歌った曲)『フューチャー・レボリューション』は、まさに私の願いそのもので、『この曲、サヨナラショーのために書いたのではないか』という歌詞。みんなが笑顔で生きられる世界、話が壮大になりますけれども、それを目指して。それが私たちが舞台に立ち、人前に立って表現し、伝える一番の役目だと私は思っているので、その気持ちが皆さまに届いたらいいな、と思って歌わせていただきました」
――最後に組長(松風輝)が、芹香さんについて大きな背中を見せたと語ったが
「袖で着替えながら、グッときました。組長さんとは1期違いで、ずっと私の本質的なところを見てくれているから、うれしく思いました」
――18年間で心残りは
「心残りはないかなぁと思います。今、本当に充実して、最高の自分でおります」
――ペンライトが光る客席の景色は
「私が星組のときの曲は(ペンライトが組カラーの)青になり、花組の曲ではピンクになって、ファンの方々のお気持ちに本当にぐっときました。宝塚はファンの方あって成り立っていて、私自身もいちずに支えてくださったファンの方がいるから、ここまで頑張ってこれたと思うので、感謝の気持ちしかありません」
「みんなが笑顔で生きられる世界を目指して」と話す芹香斗亜=27日、東京都千代田区の東京宝塚劇場(高橋朋彦撮影)健康に舞台、楽しんで
――退団挨拶の花束について
「ちょっとゴールドや、パープルみたいなピンクが入ったお花だったんですけれど、特に深い意味はなく、ただ『黒燕尾にこれを持ったらおしゃれだな』と思っていろいろ画像検索をして、お花屋さんと相談しながら決めました。
一見、すごくかわいらしく見えると思いますが、ここは18年やってきた男役の自分の力を信じ、これを持っても黒燕尾と乖離しない、しっかり男役としてみていただけるだろうと思って選びました。(花の種類は)蘭とカラーです」
――後輩へのメッセージ
「本当にたくさんの思いがありますし、私はみんなの姿から、色々なことを学ばせていただきました。みんながいなければ、私はこうして立っていられないので。伝えたいことも、思うことも山ほどあるんですけれど、ただ健康で元気に舞台を楽しんでほしいです。
経験上、どこかが痛かったり、ちょっと不調だったりすると、自分の持っているパワーを100%出せないので、ただ健康で頑張ってほしいと思っています」
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芹香斗亜
せりか・とあ 兵庫県出身。平成19年「シークレット・ハンター」で初舞台。長身で舞台映えする容姿と歌唱力で早くから注目され、星組、花組を経て、29年に宙組に組替えとなり、令和5年6月、トップスターに就任。