アングル:米の対EU交渉期限延長、市場は好反応も不確実性は継続
[ブリュッセル 26日 ロイター] - 欧州連合(EU)は26日、トランプ米大統領がEUとの通商交渉の期限を7月9日まで延長することに同意したことについて、貿易交渉に「新たな弾み」を与えたと評価した。26日の市場では株価が上昇し、ユーロも買われた。
トランプ大統領は25日、EUの執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長と「良い電話会談」を行ったとXに投稿。23日に発表した新たな関税方針を撤回した。
欧州委員会の報道官はトランプ大統領とフォンデアライエン委員長の会談について「両者は貿易交渉を迅速に進めることと、緊密に連絡を取り続けることで合意した」と述べた。
米国とEUの通商代表はこの日後刻、協議を行う予定となっている。欧州委員会の報道官は「交渉に新たな弾みがついた。われわれはそこから交渉を進めていく」とも述べた。
しかし、トランプ大統領の方針転換は政策立案者や投資家に対し、その貿易政策がいかに急速に変化する可能性があるかを思い知らせた。EUの相互に利益のある貿易協定を求める姿勢と、米国の大幅な譲歩を求める姿勢がどう折り合うかも不明だ。
コメルツ銀行の通貨ストラテジスト、マイケル・フィスター氏は、EUは7月9日までに米国と合意に達する可能性があるものの、猶予が一時的なものであることが明らかになったと指摘。「両者の電話後も、根本的な問題の何が変わったのかは疑問だ」と語った。
<困惑するEU企業>
複数の企業幹部は、こうした不確実性により事業計画の策定が困難になっていると指摘する。
イタリアの自動車部品メーカーロビー団体、ANFIAのジャンマルコ・ジョルダ専務理事はロイターに対し、交渉の成功を依然として期待しているものの、戦略策定は複雑だと述べた。
ドイツのLAPPグループのマティアス・ラップ最高経営責任者(CEO)はロイターに対し、「残念ながら、現在の米国政治は予測不可能、個人の利益、ポピュリズムが特徴だ」と語った。
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