柏ルーキーMF中島舜「何もできなかった」J1デビュー戦からの前進…初手で長友に苦戦も初シュート→CKキッカー→絶妙パスで劇的同点弾起点に(ゲキサカ)
[4.11 J1第10節 FC東京 1-1 柏 国立] 0-1のビハインドで迎えた後半31分、柏レイソルのルーキーMF中島舜に待望の出番が訪れた。開幕節から全10試合連続でベンチ入りが続くものの、ピッチに立つのはJ1デビュー戦となった第5節・鹿島戦(●1-3)の後半38分以降に続いて2度目。いずれもビハインドでの右ウイングバック起用となった。 【動画】「まじ顔可愛い」「一生見てられる」人気女優がユニ姿で日本代表のW杯出場を祝福 もっとも、決して出番が多くないというなかでもリカルド・ロドリゲス監督から託された役割は明確だった。 「攻撃の部分で1対1で仕掛けろ、シュートを打てというのは求められていたし、負けている時こそ自分なのかなと思っていました」。柏U-18時代は前線の選手だったが、流通経済大でサイドバックやウイングバックを経験してきた中島。「けっこう『大学時代にやってて良かったね』って言われますね(笑)。サイドの幅が広がったと思いますし、流経でやっていて良かっです」。推進力を活かした攻撃能力と複数ポジション経験はJ1舞台でも高く評価され、攻撃重視のジョーカー役を任された。 最初の見せ場は投入から4分後の後半35分に訪れた。中島は右サイドで足元にパスを受け、同じく投入されたばかりの日本代表DF長友佑都に向き合うと、鋭い切り返しからの縦突破を敢行。しかし、ここはは一枚上手だった。数々のウインガーと対峙してきた百戦錬磨のベテランに完璧な形で身体を入れられ、そのままボールロスト。持ち味のスピードを発揮する間もなく止められてしまった。 「ボールしか見ていなかったので、長友さんのリズム、間合いでやられたなと……」。しかし、中島のペースが揺らぐことはなかった。 J1デビューの鹿島戦では味方とポジショニングが合わず、なかなかパスを受けることさえできずに「何もできなかったし、あらためてJ1の凄さを感じていた」という中島。それでもこの日は「それを経験したからこそ少しはいいところを出せた」。前に急ぎすぎることなく冷静なポジション取りを続けながら、CBへのバックパスを有効に使ってビルドアップをサポート。黒子としての働きで徐々にリズムを掴んでいった。 すると後半アディショナルタイム、チーム全体のパスの流れが良くなったことで再び攻撃の中心が右サイドにも移り、中島の時間が始まった。 まずは後半45+2分、左に開いたMF小泉佳穂からの斜めのパスをインサイドで受けると、積極的な右足シュートを放った。「良い状態でボールが入るようになって、そこからは自分のリズムで仕掛けられた」。結果的には長友のブロックに阻まれ、「確実に(クロスを)上げてアシストにつなげられたら良かった」と悔やむ形とはなったが、攻勢はさらに続いた。 その直後には自らのシュートで獲得した右CKのキッカーを務めた。「キッカーがいない状況で、最近は自分が蹴ることが多いんですけど、意外にコーチ陣からも『いいボール蹴るね』と言われていて…」。ニアに蹴ったボールは相手に阻まれ、タッチラインに逃れられたが、このスローインから同点ゴールが生まれた。 後半45+4分、クイックスローで再開した中島はDF原田亘からのリターンを受けると、ドリブルを警戒して間合いを取ってきた長友の裏をかいた。「1対1で仕掛けていたからこそ、なかなか来られなかったと思うし、1対1があったからこそ得点につながったと思う」。そこで選択したのは得意の縦突破ではなく、ポケットに走ったMF熊坂光希へのスルーパス。この熊坂のクロスにFW木下康介が飛び込む形で、勝ち点1をなんとかもぎ取る同点弾が決まった。 チームの力になれずに黒星を喫したJ1初陣から、持ち味の片鱗を見せつつ引き分けに持ち込んだ2試合目。ジョーカー起用という立場が続く中島にとっては、小さくとも価値ある一歩となった。 もちろん、この日のパフォーマンスに満足しているわけではない。「結果が出ないとなかなか使ってもらえないと思うので、そこはもっと意識していきたい」。ポジションを争うMF久保藤次郎はビルドアップに高い貢献度を見せているだけでなく、すでに2ゴール1アシストを記録。中島はより攻撃的な役割を託されているからには、まずは数字の面で上回っていきたいところだ。 実際、そうしたゴールへの姿勢は意識を高く持っており、この日の得点シーンにも表れていた。熊坂にスルーパスを出した後、持ち味のスプリントを活かしてゴール前まで侵入していた中島。結果的にボールがこぼれてくることはなかったが、こうした瞬間的な速さとセンスが結果にもつながるよう、今後も続けていくしかない。 ルーキーイヤーといえども大卒加入は即戦力。このまま控えの立場に居続けるつもりはない。 「自分の同期ではスタメンをとっているヤツもいるし、点を取っているヤツもいる。そういう意味でまだまだだなと思う。すごく刺激を受けているし、もっとやんないといけないなと思っています」。すでに先発機会を掴んでいる流経大同期のMF藤井海和(岡山)、J1デビューから得点を量産してきた明治大出身FW中村草太(広島)からも大きな刺激を受け、いま必要なのは「結果ですね」と言い切る。 「カップ戦でもチャンスがあると思うのでそこで必ず結果を残して、Jリーグで出場機会を増やしてそこでも結果を残して、しっかりスタメンで出たいなと思います」。ポジション争いに変化をもたらすべく、照準を合わせるのは1週間後のJ1リーグ戦ではなく、16日に控える天皇杯2回戦・福島戦。自身の立場を左右する大一番として、モチベーション高く臨む構えだ。