「南極大陸で沈まない太陽を撮るぞ!」翌朝、セットしたGoProに唖然…「自然の厳しさを実感」|まいどなニュース
「『ようし、せっかく南極大陸に来たんだから沈まない太陽のタイムラプスを撮るぞ!寝る前にGoProをセットして・・・と』翌朝。」
こんなポストをされたのは、騎空士鮫ミンよりも遠い場所🇦🇶(@usa_akasa)さん。南極の“白夜”を記録するためにセットしたカメラが、自然の猛威によりまさかの展開に…。その一文だけでドラマが伝わるポストとなりました。
「これほど「翌朝。」が重いポストは見たことない」「南極ってやっぱり別世界なんだな…」「読み終わってからジワジワくる」
「白夜×GoProの夢ロマンが一転…!」
投稿には、さまざまな反響が集まりました。ポストをされた「騎空士鮫ミンよりも遠い場所」さんにお話を聞きました。
強風によって舞い上がった雪が付着、カメラの熱で融解を繰り返し凍ってしまったGoPro(提供:騎空士鮫ミンよりも遠い場所🇦🇶さん)
ーー今回の南極滞在はどのような経緯で?
「日本南極地域観測隊の『研究者枠』として参加しました。南極が受ける気候変動の影響、そして南極から全球に及ぼす気候変動の影響を調査するのが目的です」
ーーポストにある「沈まない太陽」のタイムラプス撮影は、どのような計画で臨まれたのでしょうか?
沈まない太陽が見られる貴重な期間である白夜(提供:騎空士鮫ミンよりも遠い場所🇦🇶さん)
「これは観測隊としての活動とは無関係で、完全に私的な趣味です。私は12月末から2月半ばまで滞在していましたが、その期間は南極の白夜にあたり、太陽が沈まない状態が続きます。
あまりに貴重な光景だったので、記録に残しておこうとカメラを設置しました。タイムラプス映像では、氷で覆われる部分も含めて撮影されておりました」
ーー翌朝の状況について、具体的にはどのようなことが起きていたのでしょうか?
左から右に向かって吹くカタバ風(騎空士鮫ミンよりも遠い場所🇦🇶さん)
「南極は基本的に降雪が少なく、雪が降っただけではカメラが覆われることはほとんどありません。他の観測隊員とも話し合った結果、強風で舞い上がった雪がカメラに付着し、カメラの熱で融け、その後再び凍る——というサイクルを繰り返した結果ではないかという結論に至りました。
南極には『カタバ風』と呼ばれる、標高の高い内陸部から沿岸部へ向かって吹き下ろす強風があります。この風によって雪面の雪が巻き上げられたのでしょう。雪が付着する程度は想定していましたが、それが凍結するとは予想外で、自然の厳しさを実感しました。
理論的には知っていた『カタバ風』の発生プロセスや計算式も、実際にその風を体感した瞬間、頭の中の知識が現実の自然現象と結びついたようで、大きな感動がありました」
ーー実際に南極で過ごしてみて、特に印象に残っている出来事は?
想像を絶する大波(提供:騎空士鮫ミンよりも遠い場所🇦🇶さん)
南極のブリザード(提供:騎空士鮫ミンよりも遠い場所🇦🇶さん)
「月並みですが、壮大な自然です。南極へ向かう途中、全長138メートルの南極観測船『しらせ』が波で大きく傾いて床が壁になるような体験をしましたし、南極大陸ではブリザードで雪上車に閉じ込められることもありました。
菌すら生きられない環境で『油断すれば命に関わる』現実を体感しつつ、同時に、そんな環境でも人間が生き延びられること、科学技術の偉大さも強く実感しました」
ーー南極でのGoPro撮影で、大変だったのは?
「雪上車で走行中、窓ガラスにGoProを設置して撮影していたところ、車内が暖かかったためにカメラが過熱気味になってしまいました。一方で外では寒さによりバッテリーの減りが異常に早かったりと、極端な環境下ならではの苦労もありました。
とはいえ、GoProは最後までタフに動作し、アクセサリ類も豊富でヘルメットの上に装備したり、吸盤を使って窓ガラスに貼り付けたりと非常に重宝しました」
あたり一面氷の世界!(提供:騎空士鮫ミンよりも遠い場所🇦🇶さん)
目の前に広がる一面銀世界(提供:騎空士鮫ミンよりも遠い場所🇦🇶さん)
あまりの寒さにカップラーメンもご覧の通り!(提供:騎空士鮫ミンよりも遠い場所🇦🇶さん)
「宇宙よりも遠い場所」のキャラクターも本物の南極に到達!(提供:騎空士鮫ミンよりも遠い場所🇦🇶さん)
騎空士鮫ミンよりも遠い場所🇦🇶さんは「1957年から続く日本の南極地域観測隊、そしてその再現度の高さゆえに隊員が涙するほどのアニメ『宇宙よりも遠い場所』。この二つをぜひ多くの方に知っていただきたいです!」と話してくれました。