運動に“貯金”なし──30代でやめれば健康効果は消失、ストレスでダメージ蓄積 中年期3000人以上を調査:Innovative Tech
2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説する。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。X:@shiropen2
フィンランドのオウル大学などに所属する研究者らが発表した論文「Association of longitudinal changes in physical activity with allostatic load in midlife」は、若いころに運動をしていても、中年期にやめてしまえばその効果は維持されず、継続的な活動こそが健康維持の鍵であることを裏付けた研究報告だ。
この研究はフィンランドの成人を対象とした大規模な出生コホートのデータ(3358人)を用い、若年成人期(31歳)から中年期(46歳)にかけての余暇時間の身体活動の変化を分析。慢性的なストレスの蓄積を示す「アロスタティック負荷」にどのような影響を与えるかを調査した。
アロスタティック負荷は、心血管系や代謝系、免疫系、神経内分泌系の計14種類のバイオマーカーを用いて数値化され、健康への長期的な疲弊を測定する指標として使われた。
研究チームは、WHOが推奨する週150分以上(1日当たり約20分程度の運動)の中高強度運動を満たしているかどうかで、参加者を4つのグループに分類。31歳と46歳の両時点で推奨量を満たさなかった「安定不活動群」、46歳で初めて満たした「増加群」、31歳では満たしていたが46歳で満たさなくなった「減少群」、両時点で満たしていた「安定活動群」の4つに分けた。
解析の結果、安定不活動群は安定活動群と比較して、アロスタティック負荷のリスクが18%高く、減少群も10%高いリスクを示した。一方、増加群は安定活動群と統計的に有意な差がなかった。
この研究結果から、慢性的なストレスから体を守るためには、運動をやめないことが大切であると分かる。もし今は運動不足であっても、中年期に向けて活動的に過ごすように改善すれば、その恩恵は十分に受けられるということを示唆した。
Source and Image Credits: Korpisaari, M., Leinonen, A.-M., Ikaheimo, T., Tulppo, M., Seppanen, M., Keinanen-Kiukaanniemi, S., Korpelainen, R., Farrahi, V., & Lankila, T.(2026). Association of longitudinal changes in physical activity with allostatic load in midlife. Psychoneuroendocrinology, 184, 107725. https://doi.org/10.1016/j.psyneuen.2025.107725
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