GeminiやChatGPTがあるのになぜ? ドコモがAIエージェント「SyncMe」を手掛ける理由 強みはdアカウントにあり
右を向いてもAI、左を向いてもAI、さらには垂れ幕までもがAI――3月2日から5日にわたってスペイン・バルセロナで開催されたMWC26 Barcelonaのテーマは、まさにAI一色だった。ここに合わせてドコモが発表したのが、「SyncMe」と名付けたパーソナルAIエージェントだ。現在、SyncMeはモニターを募集しており、そこでの意見を踏まえて夏ごろまでにサービスを開始する。 【画像】筆者のdアカウントから推定されたプロファイル情報 このAIエージェントは、2025年のMWCで代表取締役社長の前田義明氏が導入を表明していたもの。ちょうど1年たち、サービスの具体像が見えてきた形だ。とはいえ、AIエージェントはプラットフォーマーのサービスも既に存在する。ドコモが手掛ける意義や、その展望を読み解いていきたい。
ドコモはiモードの頃から、エージェント型のサービスを継続的に導入してきた。先駆けといえるのは、前田社長自身もサービスに携わった「iコンシェル」だろう。このサービスでも、ユーザーの生活エリアや趣味嗜好(しこう)に合わせて生活にひも付く情報を届けるといったことをしていた。 また、スマホ時代にはiコンシェルの流れを受け継ぐ「my daiz」を導入しており、こちらのサービスは現在も継続中。ホーム画面上を縦横無尽に動くマチキャラが、吹き出しでおすすめの情報を届けてくれるというコンセプトは、まさにエージェント的だ。前田社長も、「もともと携帯電話自体が究極のパーソナルエージェントで、それを進化させていくことがミッションだと考えていた」と話す。 一方で、これらのサービスは情報の出し方がパターン化しており、エージェントとしてできることは少なかった。ワンパターンの情報しか出ず、実際に何らかの手続きをしてくれないとなると、ユーザーにとっては邪魔な存在になってしまう。筆者もかつてはmy daizを契約していたが、鉄道遅延情報ばかりであまり役に立たないというのが率直な印象だった。 ここに生成AIを活用することで、エージェントとしての能力を高める道筋が見えてきた。前田氏は、「今われわれが持っているアセットと、世の中に勃興するテクノロジー(生成AI)を組み合わせることで、その世界が見えてきた」と話す。 SyncMeを手掛けたドコモのエンタメマーケティング担当部長の浜田尚氏も、「当初思い描いていたものをiコンシェル、my daizではやりきれなかった。生成AIがこれだけ拡大する中で、われわれが想定していたエージェントとしてお客さまをサポートすることがテクノロジーとしてできるようになってきた」と口をそろえる 実際、SyncMeは既存のAIモデルをAPI経由で呼び出しており、これまでのどのサービスよりも多彩な会話が可能。「ワラピィ」と「ヨミドーリ」というキャラクターが前面に出ているため、“緩いサービス”を想像してしまうが、できることはGoogleのGeminiやOpenAIのChatGPTに近い。チャットを通じてユーザーの行動を支援する、会話型のエージェントといえる。