「正直、あまり寝られませんでした」2軍で再調整の巨人・戸郷翔征が激白 阿部監督への思い 再起への覚悟

 巨人の戸郷翔征投手(25)が12日、再起を目指す心境をスポーツ報知に激白した。3回1/3で自己ワーストの10失点を喫した11日の広島戦(マツダ)から一夜明けたこの日、出場選手登録を抹消。2軍での再調整の時間を与えられたエースは、悲劇のマウンドでの自身を「考えすぎていた」と分析。気持ちの面も整理し、最短10日での1軍復帰を誓った。

 戸郷は悲劇の起きたマウンドを見つめながら、昨晩を思い返して口を開いた。その表情はどこかスッキリしていた。

 「正直、あまり寝られませんでした。こんなに打ち込まれて2軍に落ちるのは初めての経験ですし、難しかった。でも、一つのいい挫折を味わった。ここから復活するにも落ちていくにも自分しかない。自分を律して見つめ直して、前に戻ろうとは思わないけど、また新しい自分をつくっていけたらと思います」

 開幕から2戦連続で白星がない中、覚悟を決めて上がった11日の広島戦だった。しかし、3回1/3を106球、10安打を浴びて自己ワーストの10失点と大乱調で2軍での再調整が決定した。阿部監督は10点目を奪われても「しっかりと責任を果たしてほしかったので」と動くことはなかった。その指揮官の思いを受け止めている。

 「ここまで引っ張ってくれた監督にも感謝です。すぐ代えるところを代えずにいてくれて、僕の中ではすごい、いい経験ができた。シーズンで10点取られることは初めてで、ピンチの時のメンタルの保ち方だったり、やっぱり弱さが出た。いい意味でも遊びがないなって僕の中では感じた。思い込みすぎて、考えすぎているところも多いので、そこは改めないといけないですね」

 今季は菅野がメジャーに移籍し、エースとしての重圧が大きくのしかかる。変化球の精度など技術面の課題もあるが、気持ちの面で余裕がなくなっていた。

 「1軍の試合はどこで投げてもプレッシャーはあるけど、やっぱりジャイアンツの柱としてやらないといけないことができなかったので、余計に大きいプレッシャーがかかった。でも、これからも1個勝つまではこれが続く。体の部分はいいので、あとは考え方が直れば、いいものが出ると思う」

 この日はマツダでキャッチボールなどを行ってから帰京した。マウンドを降りる時の観客からの声は耳に残る。宿舎に戻ってからもSNSなどを通してファンの思いが届いている。

 「ここ2試合あまり良くなかっただけに、ファンの方々も今回は大丈夫だって期待してくださった中で、この結果になってしまって申し訳ない。ここまで苦しんでいる姿を初めて見ていると思いますし、いい意見も悪いことも言われるけど、それがジャイアンツの宿命。いい10日間を過ごして、最短で上がってくることが僕の目標。僕が勝っている姿をジャイアンツファンは見たいと思うから」

 エースとしてたくましさを増した姿で、必ず帰ってくる。(水上 智恵)

◆堀内恒夫氏のPoint「走るしかない」

 戸郷の11日のピッチングは見ていた。上体だけで投げていたね。腕の振りが遅くて体が動いていない。開幕前のドジャースとの試合でも内容が悪くて心配していたけれど、修正できないままに来てしまったということだな。

 2軍での調整はある意味、当然なんだが、2軍で何ができるか。桑田2軍監督やコーチ、誰かに何かアドバイスをしてもらうことも必要かって?

 いやいや、戸郷自身、こうすべきということは理論的には分かってるんだ。俺にも2軍落ちの経験があるが、実績があるだけに人の話はなかなか頭に入ってこない。それより、自分自身の感覚が大切。実は原始的と思われるかもしれないが、走ることしかないんだよ。走って、今回の失敗は一度、忘れる。走りながら己の原点を思い出すことしかないと思うよ。

関連記事: