イスラエルもトランプ式外交に不満、ハマス直接交渉「非常に危険」
- イスラエルの認識外で連携しない行動、ディクター農業相が公に批判
- カタールでハマスとの間接交渉再開、米からはウィットコフ氏出席へ
イスラエルとトランプ米政権の関係が、めずらしく気まずくなっている。米国人人質の解放という問題も含め、米政府がイスラム組織ハマスと直接交渉したことが原因だ。
米国務省の人質問題担当大統領特使に任命されたアダム・ベーラー氏は先週、ハマスの高官とカタールで会談。この詳細が明らかになるにつれイスラエル政府高官らは、ハマスはテロ組織であってその約束は信用できず、額面通りに受け止めるべきではないとして、不快感をにじませている。
米大統領特使がハマス高官と会談、人質巡り-「テロ組織」と異例の接触
ベーラー氏は9日のテレビインタビューで、イスラエルから「懸念が表明された」ことを認めたが、ハマスの要求と提案に耳を貸すことは有益だとも述べた。「われわれはイスラエルの代理ではない。米国としての利害がある」とCNNで指摘した。
ハマスは米国をはじめ複数の西側諸国・地域からテロ組織に指定されている。ベーラー氏によるハマス接触が引き起こした摩擦は、イスラエルと米国の間で最初に生じた見解の相違だ。トランプ米大統領はイスラエルへの支持を明白にしているものの、同氏の予測不能な行動に当局者らは頭を抱えている。ウクライナの戦争を巡り、トランプ氏がロシアと直接の停戦交渉を開始したのはその一例だ。
イスラエルのディクター農業・地方開発相は10日、イスラエル・ラジオでベーラー氏について公に批判した。
「意図するところは非常に良いが、その実行は非常に悪い。大いに問題がある」とディクター氏。「イスラエル側の認識外で連携せずに行動を起こすことは、非常に危険だ」と述べた。
イスラエル交渉団は10日、カタールに赴き、エジプトとカタール、米国の仲介でハマスとの間接交渉を再開する。米国からはウィットコフ中東担当特使が参加する予定。
原題:Trump-Israel Tensions Begin to Surface Over Gaza Hostage Talks(抜粋)