TSMC、25年売上高見通しを維持-貿易戦争への対処に自信
半導体受託生産大手、台湾積体電路製造(TSMC)は、2025年通期の売上高が「20%台半ば」の伸びになるとの1月時点の見通しを維持した。米中の貿易戦争による半導体業界や経済への影響を乗り切れると自信を示した格好だ。
この発表を受け、TSMCの米国預託証券(ADR)は17日早朝の時間外取引で買われ、一時4.5%高を付けた。
25年の設備投資計画は従来通り380億-420億ドル(約5兆4300億-6兆円)とした。ただ、今年3月にはトランプ米大統領がTSMCによる米工場への1000億ドルの追加投資を発表。ホワイトハウスでの発表には魏哲家最高経営責任者(CEO)も同席した。
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魏CEOは、人工知能(AI)開発に欠かせない先端半導体を中心に、需要は引き続き堅調だと強調した。エヌビディアやアップルなどの主要な半導体供給元であるTSMCのこうした見通しは、不安定な相場に直面している投資家の懸念を和らげる可能性がある。米国によるエヌビディア製半導体の対中輸出規制や蘭ASMLの予想を下回る決算を受け、市場はここ数日、幅広い売りに見舞われていた。
魏CEOは決算発表後のアナリスト向け電話会見で、「関税政策の潜在的な影響を理由とした不透明性やリスクがあることは理解している。それでも、弊社顧客の行動に今のところ全く変化は見られていない」と説明。「向こう数カ月で、見通しはより明確になるだろう。需要に対する潜在的な影響について、引き続き注視する」と述べた。
17日発表した4-6月(第2四半期)の売上高見通しは市場予想を上回った。
1-3月(第1四半期)決算では、純利益が3616億台湾ドル(約1兆6000億円)と市場予想平均の3468億台湾ドルを上回った。米国の関税による世界的な貿易摩擦への懸念を背景に、顧客が積極的に先端半導体の在庫を積み増したことが業績に反映された。
同社は先週、1-3月の売上高が42%増と予想を上回ったと発表。米国による関税発動前のAIサーバーやスマートフォンの需要拡大を反映した。
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インテルとの提携交渉は否定
魏CEOはまた、いかなる企業とも合弁設立や技術共有の協議をしていないと述べ、TSMCが米インテルとある種の提携を交渉しているとの臆測を否定した。
インテルと協力する可能性を問われた魏CEOは、直接的な回答を避けつつも、TSMCは自らの事業に注力していると発言。「合弁事業や技術のライセンシング、技術の移管や共有について、TSMCは他社といかなる協議も行っていない」と明言した。
ブルームバーグ・ニュースは2月、TSMCがトランプ政権の要請を受けてインテルとの提携を検討したと報じた。実現すれば、苦境にあえぎ数千人の人員削減を進めるインテルを手助けすることになっていた。
原題:TSMC Projects Confidence Even as Trump, Tariffs Roil Global Tech、TSMC ADRs Jump After 2Q Sales Forecast Beats Estimates (2)、TSMC Dismisses Intel Tie-Up Talk, No Intent to Share Tech (1)(抜粋)