スペースX上場で宇宙開発加速へ。日本の宇宙産業にも成長期待(窪田真之)

 日本は少ない宇宙予算の中でも積極的に宇宙開発を進め、成果を上げてきました。日本では宇宙航空研究開発機構(JAXA)を中心とした宇宙開発に、民間企業が幅広く参画しています。日本製ロケットで打ち上げた、日本製の人工衛星「ひまわり」「みちびき」「だいち」などを運営しており、国際宇宙ステーション事業にも参画しています。

 日本は、ロケット打ち上げで、スペースXに大きく出遅れています(日本だけでなく、世界中の国々がスペースXに対して劣後しています)。それでも、自前のロケットを打ち上げ自前の人工衛星を保有して運営しているという点で、日本は宇宙開発先進国(米国、欧州、中国、ロシアなど)の一角に入っています。

 日本は、米国のように宇宙インフラを支配している国ではありませんが、それでも、ロケット部材、地球撮影用カメラ、衛星運営技術などで、世界でもトップクラスの技術を持つ企業はあります。

 宇宙産業において、世界的に目立たないながらも、とても重要な役割を果たしています。 

 表は、宇宙産業で活躍している代表企業です。

<日本の宇宙開発の中核企業:2026年5月21日時点>

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成、配当利回りは2027年3月期1株当たり配当金(会社予想)を5月21日株価で割って算出

 以下、簡単に解説します。

【1】造船重機3社(三菱重工、川崎重工、IHI)

 この3社が日本のロケット打ち上げで中核的役割を果たしています。

 三菱重工業(7011)は、宇宙開発で国内最大手企業です。日本の主力基幹ロケット「H3」をJAXAと共同開発し、製造や打ち上げまで行っています。

 川崎重工業(7012)はH3ロケットのフェアリング(大気圏通過時に先端部分を保護する重要部材)の開発・製造を行っているほか、人工衛星・宇宙ロボットなどさまざまな宇宙機器の研究開発を行っています。

 IHI(7013)は、H3ロケットなどのエンジンの開発・製造を行うほか、さまざまな宇宙機器を開発・製造しています。低軌道の衛星コンステレーションを運用する事業では、英国企業2社と提携しました。2030年までに地表の観測データを集めるネットワークをつくり日英間の安全保障協力に役立てる計画です。

【2】電機2社(三菱電機、NEC)

 この2社が、日本の人工衛星の開発・製造で中核的役割を果たしています。

 三菱電機(6503)は、人工衛星システムの開発、製造を行っています。気象衛星「ひまわり」シリーズ、GPS補強衛星「みちびき」などの開発、製造の実績があります。人工衛星に搭載される太陽電池パネル、アンテナ、通信中継器、バッテリーなど、さまざまなコンポーネントの開発・製造でも高い技術力を有します。

 また、衛星を打ち上げた後、その軌道制御、コマンド送信、データ受信などを行う地上管制システムの設計、構築、運用支援も行っています。さらに、宇宙から得られたデータを活用したソリューション開発にも注力しています。

 NEC(日本電気:6701)も人工衛星の開発・製造を行っています。特に、小型・高性能の地球観測衛星に強みを有します。衛星をコントロールする地上システムの構築にも強みを持ちます。

【3】NTT

 NTT(9432)は、宇宙システムを利用した通信ネットワークを構築して、地上のネットワークが届きにくい山間部・海上や、災害時の通信を提供する計画を進めています。

【4】総合商社(三菱商事、三井物産)

 三菱商事(8058)は、地球観測衛星データの活用事業に投資、参画し、農業、インフラ監視、防災などでのソリューション開発を進めています。また、宇宙ゴミ除去やロケット打ち上げなどに取り組む宇宙企業や、宇宙関連スタートアップへの投資、育成を行っています。

 三井物産(8031)は、衛星通信サービス事業者への投資や自社の通信衛星を活用して、ブロードバンド通信、IoT通信、船舶、航空機向け通信などのサービスに対応しています。また、衛星打ち上げ支援や、宇宙データ解析サービスを手掛けているほか、さまざまな宇宙開発事業に参画しています。

 スペースXは、今後、さらなる宇宙開発およびAIデータセンター開発を進めるでしょう。その効果で、世界各国の宇宙開発も加速するでしょう。宇宙開発企業に対する、株式市場の注目がさらに高まる可能性があると予想しています。

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