「中国人3人を射殺」「集団リンチをSNSに投稿」…中国政府はなぜ“問題だらけの隣国”ワ州に介入できないのか?(文春オンライン)
〈幼い兄弟を指差し「あのふたりをよこせ」…地図に載らない国・ワ州で思春期前の少年が「アヘンの代わり」に奴隷にされるまで〉 から続く 【写真】この記事の写真を見る(8枚) 地図には載らないが、オランダと同じ面積を持ち、スウェーデンを上回る軍隊を擁する「国」が存在する。その名はワ州。違法薬物であるメス(メタンフェタミン)やヘロインを輸出し、年間600億ドルを稼ぐ麻薬国家だ。 ミャンマーの中で事実上の独立国として機能し、中国政府も頭を悩ませるこの謎の民族国家は、いったいどのようにして誕生したのか。そして、なぜ麻薬なしには存在できないのか。 『 ナルコトピア 東南アジア“黄金三角地帯”の麻薬国家「ワ州」を追う 』(パトリック・ウィン著、光文社)から、ワ州の驚くべき実態を紹介する。 ◆◆◆
ワ州に中産階級はほとんど存在しない。エリートと平民がいるだけだ。ワ人の半分以上が学校にかよわないし、平凡な病気でもまだ治療が行き届いていない。癌は死を意味する。 近年、ワ州政府は、税収の10パーセントを教育や医療に用いなければならないという頼もしい法律を制定したが、現実には実効化されていない。 こういったワ州の現状は真の悲劇だ。ワ州の指導部は、ソー・ルーの未来像とウェイ・シュウ・カンの富を融合させて、ノルウェーやアラブ首長国連邦に代表される石油国家のように、市民に高い質の教育と医療を提供できる。 しかし、ワ州が福祉国家を作る際の資金源はメスになってしまうのだ。もっとも、多くの国と同じように、金持ちは自分たちで富を独占している。 少なくともワ州の大衆は、現在では声を持っている。ワ州を「地球上でもっとも明らかにされていない場所のひとつ」と呼んだBBCの報道は、まだ一部真実であるものの、ソーシャルメディアの影響でかつてなく不正確になっている。 ワ州ではふたつの中国系のスマートフォン向けアプリが人気だ。ユーザーが写真やビデオを共有するWeChatと、TikTokの中国語版のDouyin(抖音)だ。