ガジェット専門家「じゃない」記者が触って感じた「iPhone Duo」のリアルな使い勝手、一般人でも36万円払う価値はあるか

 アップルが9月10日に満を持して発表した折り畳み式のiPhone「Duo(デュオ)」。発売を1カ月後に控える中で、36万4800円からという高級家電並みの価格が話題になっているが、実際に価格に見合う使い勝手なのか。東京都内で実際にiPhone デュオなど新製品を試す機会を得たのでレポートする。 【この記事の他の画像を見る】  ちなみに、筆者は2008年に発売されたiPhone 3GからもっぱらiPhoneを愛用している。つまり、iPhone歴18年の古株になるが、最近は頻繁に買い替えをしていない(手元にあるのはiPhone 14とiPhone 16e)。最先端のスペックにはやや疎い。そんな”一般人”にデュオは使いこなせるのだろうかーー。

■小さいけど、手に収めるとずっしり感  「思ったより小さい(かわいい)!」というのが初見の感想だ。横に折り畳んだ状態の大きさは高さ117.8mm、幅84.1mm、厚さ11.3mmと、同じく新製品の「iPhone 18 Pro」(高さ150mm、幅71.9mm、厚さ8.75mm)と比べると高さがないぶんコンパクトに見える。実際、折り畳んだ状態であれば、手がさほど大きくない筆者でも手のひらにおさめて片手で操作できそう。

 閉じた状態での厚さはシャツのポケットやパンツのポケットにもはみ出さずに収まりやすい。デュオにはグレード5のチタニウムフレームや10層構造のインナーディスプレイが採用されており、パンツのポケットに入れたまま座ってしまったり、ポケット内で鍵などと接触しても傷つきにくいという。一方で重さは254gと18 Proより40グラムほど重く、手に収めるとちょっとしたずっしり感があり、例えば片手で撮影をするには多少の慣れが必要だろう。

 普段プロではないサイズのiPhoneを使っているためか、閉じた状態でもディスプレイは小さいと感じない。実際、iPhone 18 Proと比較しても、面積は90%程度ある。通常時は閉じた状態で操作することがほとんどだろうが、iPhoneデュオではよく使うアプリのドックが下部ではなく、縦に表示されるため、親指での操作がしやすくはなる。  いざ、オープンしてみた。折り畳みとなると、開くときにパカッと強く開くような衝撃がないのかどうか気になるが、そこは滑らかでシームレスだった。


Page 2

 アップルの発表によると、ヒンジ機構は100以上の部品で構成されており、これが滑らかさにつながっているようだ。また、これまでの一般的な折り畳みスマホには開閉時の画面や部品への負担による壊れやすさが指摘されるが、デュオではディスプレイパネルの上下を高強度ガラスで挟み、内部の層が本のように微妙にズレて追従する構造を採用。折り曲げ時のストレスを逃がす設計となっている。  閉じた状態と開いた状態のアスペクト比はともに4:3だ。そのため、閉じた時と開いた時で違和感がない。開いた状態の画面サイズは高さ117.8mm×幅164.6mm×厚さ5.2mmm、インナーディスプレイのサイズは7.6インチ(約19.3cm)とこれまでのiPhoneでは最大。「iPad mini」と同等のサイズだ。

 1枚の大画面として使うこともできるし、「スプリットビュー」により、左右で別のディスプレイとして使ったり、アプリを利用したり、ということもできる。個人的に「スプリットビュー」は使い勝手が良さそうだと感じた。  開閉の途中の状態でも使うことができる。中途半端に開いた状態を維持できることによって、利用シーンも広がる。  例えば、多少開いた状態で横にして時計やカレンダーを表示することもできるし、上下に開いた状態で動画を視聴できる。飲食店などで動画を見ながら食事をしている人をしばしば見るが、デュオならスマホスタンドいらずで視聴できるようになるし、オンラインの打ち合わせなどでもパソコンを開く煩わしさがない。

 細かいスペックについてはすでに多くのレビューが出ているが、これまで折り畳みスマホは使ったことがない筆者に響いたのは、以下の3つの使い方だ。 ■地図、動画視聴、スプリットビューに魅力あり  1つ目は地図。職業柄移動が多いため、日々Googleマップとにらめっこをしているが、大画面にすればより広域で位置を確認できるほか、2画面にすれば例えばメールで送られてきた住所とマップを行き来するという煩わしさがない。さらに、老眼世代には大きい地図は非常に見やすい。


Page 3

 2つ目は動画視聴。特に今回、ネットフリックスと連携し、例えばネットフリックスのアプリ内で予告編を縦にスクロール機能を追加したほか、そこから動画を選んで大画面で見る場合も途中で途切れることなく視聴できるようにした。  また折り畳んだ状態で置くと、画面の下部に音量や再生・停止などができるコントローラーが表示される。この状態だと、下部に微妙に動画が映り込んでいるような反射効果が見える。さらに、周囲の明るさに合わせて自動的に輝度が変わるため、映画館にいるような視聴体験ができるとされているが、実際にわずかな工夫でも没入感が増す気がした。

 3つ目は、スプリットビューの使用。例えば、メールは一方の画面でインボックスを表示し、もう一方の画面でメールや添付資料を開くことができる。これも地図と同じく、行き来するストレスが軽減される。ハンズオンでは試せなかったが、スプリットビューは慣れれば色々な組み合わせによってアプリを開けたり閉じたりする手間を省くことができそうだ。  折り畳みスマホは19年に韓国サムスンが「Galaxy Fold」を発売しており、現在ではデュオの横折りタイプと(サムスンやグーグル)、縦折りタイプがある(サムスンやモトローラ)。米調査会社IDCは、折り畳みスマホの世界での出荷台数は25年に2030万台だったのが、30年には3580万台に膨らむと予測している。そのけん引役となるのがデュオだ。高額なデュオが参入することで、市場規模の拡大余地はさらに大きく、折りたたみスマホの全体における市場シェア26年の6.9%から30年には10%を占めるまでになると見る。

IDCの見立てでは、アップルの厳格な品質基準を満たすハードルが高く、発売当初の大量生産は難しいため、投入から12カ月の出荷台数は1000万台にとどまる。一方で、折りたたみスマホにおける高価格帯市場を立ち上げることで売り上げを確保することができるしている。プレミアム市場の確立は中国市場での成功も左右するとしている。 ■折り畳みスマホはどこまで伸びるか  端末の開閉は楽しいし、スマホにまつわる日々のちょっとしたストレスも軽減され、動画や読書もより没入しやすくなることは間違いない。


Page 4

 さて、それに36万円を払うかどうか。SNSを使ったり、移動中に動画を視聴したり、アプリで語学を勉強したりという一般的な使い方にとどまるのであれば、デュオの機能を使いこなしきれない可能性はある。一方で、動画視聴や読書などの「体験」を向上するにはデュオはいい。こうした中で、スマホでもなく、iPadでもなく、デュオにしかできない使い方や体験のカギを握るのはアプリだろう。  上述のネットフリックスのように、デュオにしかない使用感や体験が増えれば、端末としての魅力も増す。例えば、語学アプリであればスプリットビューを使って、片画面でレッスンをしながら、もう片方の画面で覚えられない単語をメモして単語帳を作る、といった機能なども考えられる。

 スマホそのものに「楽しさ」が戻ってきたのは間違いないが、デュオならではの使い方が増えるのかどうか(そして、よりリーズナブルになるかどうか)が、一般層にも利用が広がるためのカギとなりそうだ。

倉沢 美左 :東洋経済 編集委員

東洋経済オンライン
*******
****************************************************************************
*******
****************************************************************************

関連記事: