【米国市況】株反発、ハイテクに買い-利下げ観測で短期債利回り低下
6日の米株式相場は反発。大手ハイテク株を中心に買いが膨らんだ。早期の米利下げ観測を背景に、短期債利回りが低下し、ドルも下げた。
押し目買いの勢いがまれに見る強さを示した。ナスダック100指数は1.3%上昇。トランプ米大統領は6日夕、アップルが米国内生産に向けて1000億ドル(約14兆7500億円)を追加投資する方針を明らかにする。同社株は5.1%高。
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株式 終値 前営業日比 変化率 S&P500種株価指数 6345.06 45.87 0.73% ダウ工業株30種平均 44193.12 81.38 0.18% ナスダック総合指数 21169.42 252.87 1.21%インタラクティブ・ブローカーズのホセ・トレス氏は「きょうはリスクオンの雰囲気から活況を呈している。変動の激しい貿易動向や弱い経済指標から堅調な企業業績に、市場の注目がシフトしている」と指摘。「アップルが米国内生産に向けて1000億ドルを追加投資する方針が明らかになり、『アニマルスピリッツ』が強まっている」と語った。
米連邦準備制度理事会(FRB)のクック理事は、7月の雇用統計は「懸念すべき内容だ」とし、米経済の転換点を示唆している可能性があるとの見方を示した。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は米経済の減速を踏まえ、短期的に利下げが適切になる可能性があるとの考えを示した。
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トランプ氏は欧州の同盟国に対し、来週にもロシアのプーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領と会談する計画だと伝えた。米国はインドからの輸入品に対して25%の追加関税を課す。インドがロシア産エネルギーを購入していることへの措置だという。
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eToro(イートロ)のブレット・ケンウェル氏は「現在の投資環境では考慮すべき要因が多いが、業績は依然として株式の主な原動力だ」と述べた。「相場が下げる可能性はあるが、特にマクロ経済要因や季節的な傾向の悪化が要因となる場合、下げは買いの機会になるだろう」と語った。
米国がリセッション(景気後退)に陥る確率は30%に達しているにもかかわらず、世界的な株式相場はなお堅調で、その流れに逆らうのは「ほとんど理不尽にも感じる」と、ゴールドマン・サックス・グループのマクロトレーダー、パオロ・スキアボーネ氏は述べた。
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UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのマーク・ヘーフェル氏は「貿易を巡る不確実性と高いバリュエーションが株式市場に短期間、弱い向かい風を吹き付けるかもしれないが、投資家は変動リスクを管理しつつ、長期的な利益を追求するポジションを取ることが可能だ」と述べた。
国債
米国債市場では利回り曲線がスティープ化した。10年債入札が不調で長期債が売られた一方、早期利下げ観測を背景に短期債は買われた。
国債 直近値 前営業日比(bp) 変化率 米30年債利回り 4.82% 4.4 0.92% 米10年債利回り 4.23% 2.2 0.51% 米2年債利回り 3.71% -1.3 -0.34% 米東部時間 16時49分10年債入札(規模420億ドル)での最高落札利回りは、入札前取引の水準を1.1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上回った。落札全体に占めるプライマリーディーラーの割合は16.2%と、1年ぶりの高水準を記録した一方、間接入札者の割合は64.2%に低下した。応札倍率は2.35倍と、10年債の直近6回の新規発行入札における平均2.51倍を大幅に下回った。
為替
外国為替市場では、主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数が4日続落。特にユーロの上げが目立った。
円相場は対ドルで小幅高。クックFRB理事の発言が伝わると、一時1ドル=146円98銭まで上げたが、その後は上げ幅を縮小した。
為替 直近値 前営業日比 変化率 ブルームバーグ・ドル指数 1204.60 -5.12 -0.42% ドル/円 ¥147.42 -¥0.20 -0.14% ユーロ/ドル $1.1657 $0.0082 0.71% 米東部時間 16時49分マネックスの外国為替トレーダー、ヘレン・ギブン氏は「米国初のヘッドラインリスクがあるということは、ドル安を意味する」と述べた。
マネックス・ヨーロッパのマクロ分析責任者ニック・リース氏は「ここ数日で利下げ前倒しの観測が強まっているのは、FRBが成長支援に動くとの楽観的な見方が背景にある。しかし、当社はインフレが依然として最優先課題だと考えている」と述べた。「当社のモデルは一貫して価格圧力の高まりを示しており、第4四半期にピークに達すると予測している」と話した。
原油
ニューヨーク原油先物相場は5営業日続落。トランプ米大統領がロシア産エネルギーの供給抑制に向け、一段と厳しい措置を講じるかどうかを見極めたいとのムードが広がった。
トランプ氏がロシアのプーチン大統領と来週にも対面で会談する意向との一部報道が伝わった後、原油相場は下げ足を速めた。ロシアに対する米政権の姿勢が、従来示唆されていたより和らぐとの見方から、ポジションを調整する動きが見られた。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は一時、1バレル=66ドル台後半に上昇する場面もあったが、その後は徐々に売りに押された。
この日発表された米エネルギー情報局(EIA)のデータによれば、米原油在庫は減少。米国内製油所の稼働率がこの時期としては2019年以来の高水準となっていることが背景にある。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物9月限は、前日比81セント(1.2%)安の1バレル=64.35ドル。ロンドンICEの北海ブレント10月限は1.1%下げて66.89ドルで引けた。
金
金スポット相場は小反落。米国の通商戦略や地政学的情勢、米金融政策の行方など複数の材料が意識される中で、やや軟調な展開に終始した。
ホワイトハウスは、トランプ大統領がインドからの輸入品に対して25%の追加関税を課す大統領令に署名したと明らかにした。
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金スポット価格はニューヨーク時間午後3時10分現在、前日比9.53ドル(0.3%)安の1オンス=3371.07ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は、1.30ドル安の3433.40ドルで引けた。
原題:Stock Bull Run Powers Ahead as Apple Surges 5%: Markets Wrap(抜粋)
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