高速道路建設のための立ち退きを拒否した結果ポツンと取り残された家

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 長年住み慣れた自宅が、国や自治体による開発対象となり、立ち退きを依頼されるのことはよくある話だ。だがたとえ大金を積まれたとしても、最後まで立ち退きを拒み続けたらどうなるのか?

 国や自治体によってその対応は異なるだろうが、中国の場合、立ち退きを拒否すると、自宅のを囲む形で、建造物や道路の建設が始まってしまうのは良くある話で、最近話題となっていた家もそうだった。というか家の出入りどうすんのこれ?

 高速道路の建設が決まったのは、江西省撫州市の金渓県。だが1軒の民家が立ち退きに応じなかったため、ご覧の通り、その民家を取り囲む形で高速道路の建設が始まってしまった。

 この民家の所有者は、11歳になる孫と2人で居住している老人で、現地の報道によると、所有者には当初、「160万元(約3,430万円)の支払いと移転先の住居2棟の提供」というかなり良い補償条件が提示された。

 だが、補償金の支払いが分割払いになると知らされると、所有者の老人は立ち退きを拒否。周囲の住人たちが次々と移転していく中で、最後まで居座る事態になったのだ。

 だが、中国ではこういった場合、立ち退きに応じなかった家をそのままにして、建設計画が進められることが往々にしてある

 今回も当局は、計画を遅らせるよりも、強引にこの家を取り囲む形で、工事を進める選択をしたのだ。

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 その結果、まだ老人と孫が住んでいる状態で高速道路の建設工事が始まってしまい、彼らは日夜、工事の騒音や土埃に悩まされることになってしまった。

 道路の高さは、家の屋根とほぼ同じ。家は盛り土に囲まれて視界を遮られ、外に出るにはトンネルを通るしかなくなった。

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 こんな事態になった今、所有者は次のように語っているという。

もし時間を戻すことができるなら、あの時提示された条件に同意するでしょう。今大きな賭けに負けたような気分で、少し後悔しています

 中国ではこういった立ち退きに応じずに抵抗を続ける家のことを、地面に釘で打ちつけたように動かないことから、「釘子戸(釘の家:ネイルハウス)」と呼んでいる。

 上海にも有名な「釘の家」があって、2003年から移転の依頼を拒否していたが、2017年に補償を受け取る決断をし、家は取り壊されたそうだ。

 また、下の動画は広州市にある「釘の家」を紹介する日本のニュース。

橋の真ん中に家? 立ち退き応じず・・・観光地に(20/08/10)

 上の動画にもあるように、高速道路に挟まれた家は「目」のような形に見えることから、広州のものは「巨人之眼」、今回の家は「金溪之眼」」と呼ばれ、観光客が訪れる人気スポットにもなっている。

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 所有者の老人は工事による騒音や、写真を撮りまくる観光客に悩まされながらも、「これでお金が稼げるかも」と、この状況を受け入れようとしているらしい。

 中国と言えば土地は全て国家の所有で、住人には権利がないと思われがちだが、今回のように開発などで立ち退きを求める場合は、相応の補償を行うよう法で定められているんだそうだ。

 だが、立ち退きに応じない住民も後を絶たず、地方政府が強引に計画を進めるケースも多いんだとか。

 ちなみに日本の場合は都市計画法に基づき、最終的には強制的に土地を収用することが可能だそうだ。

 下の動画は、中国の「釘の家」20選を紹介するもの。少々長いが、どんな感じで家が取り残されているのかをざっくり知れるので、興味のある人は見てみてほしい。

20 Owners Who Refused To Move Out At Any Price

References: 「最強釘子戶」後悔:賭輸了…家住高速公路中央太尷尬 網瘋打卡

本記事は、海外メディアの記事を参考に、日本の読者に適した形で補足を加えて再編集しています。

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