〈園遊会のあのとき〉愛子さまの園遊会デビューは「遊び心」パール 清楚でフレッシュな気品にあった装い

初めて園遊会に出席された天皇、皇后両陛下の長女愛子さま。淡いピンクの装いに晴れやかな笑顔が弾けていた=2024年4月23日、東京・元赤坂の赤坂御苑、JMPA この記事の写真をすべて見る

 天皇、皇后両陛下が主催して、10月30日に開かれた「秋の園遊会」。両陛下や皇族方が、数多くの著名人たちと親しく言葉を交わす園遊会の「あのとき」を振り返る(この記事は「AERA dot.」に2024年4月25日に掲載された記事の再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。

【写真特集】雅子さまは緑に映えるスタイリッシュなスーツで 皇后の「品格」に注目集まる春の園遊会

フォトギャラリーで全ての写真を見る

*   *   *

 天皇、皇后両陛下主催の「春の園遊会」が23日、東京・元赤坂の赤坂御苑で開かれた。注目が集まったのは、今回が初めての参加となった両陛下の長女愛子さま。緊張の様子が見えつつも、招待客らとの懇談の時間を笑顔で過ごした。皇室の装いに詳しい専門家は、淡いピンクのスーツで「デビュー」した愛子さまの装いのなかに、「遊び心」を見て取ったという。  

 ポツポツと降っていた雨が、止んだ。

 予定時刻の23日午後2時20分ごろ、天皇陛下と皇后・雅子さまが、赤坂御苑の小高い丘、三笠山にお出ましになった。その後を、秋篠宮さま紀子さま愛子さま佳子さま、常陸宮妃の華子さま、寛仁親王妃の信子さま、長女の彬子さま、次女の瑶子さま、高円宮妃の久子さま、長女の承子さまと続き、三笠山に一列に並ばれた。

赤坂御苑の三笠山に天皇皇后両陛下、秋篠宮ご夫妻、愛子さま、佳子さま、皇族の方々が並ばれ、色とりどりの装いが新緑に映える=2024年4月23日、東京・元赤坂の赤坂御苑、松永卓也撮影(朝日新聞出版/JMPA)

 天皇陛下と秋篠宮さまはモーニング姿。そして、雅子さまは水色、愛子さまは淡いピンク、佳子さまは淡いオレンジの装い。

  あいにくの曇り空ではあったが、女性皇族の色とりどりの装いが、赤坂御苑の新緑に美しく映えていた。

 注目が集まっていたのは、今回が「デビュー」となった愛子さまだ。

淡いピンクの装いの愛子さま。清楚で柔らか、そして華やかだった=2024年4月23日、東京・元赤坂の赤坂御苑、JMPA

 愛子さまの装いを、皇室の装いに詳しい歴史文化学研究者の青木淳子氏は「柔らかさと優しさ、清楚なエレガント」と表現し、こう解説する。

「愛子さまは淡いピンクのアンサンブルスーツでした。ジャケットは先の丸いテーラードカラー。丈は短く、前の合わせ部分には、同じ布のくるみボタン、ウエスト部分のポケットのフラップがデザインのアクセントになっています。

 襟とカフス、そしてインナーに小花模様の布があしらわれ、柔らかさと華やかさを醸し出しています。スカート丈は膝下長めで、ウエストから裾まで自然に広がるフレアースカートです。

愛子さまのスーツの上着の襟やカフスには小花柄の模様があしらわれている=2024年4月23日、東京・元赤坂の赤坂御苑、JMPA

 愛子さまの歩みに合わせて揺れ、清楚なエレガントさも醸し出します。手に持ったクラッチバッグも薄ピンク色で、リボンの装飾がシンプルで若々しいデザインです。白い手袋は皇室女性ならではのものですが、薄ピンクの装いのワンポイントになっています」

【こちらもよく読まれています】 愛子さまは素早くふり返り、佳子さまが「コクン」 見る人を笑顔にした愛子さまの「園遊会デビュー」 https://dot.asahi.com/articles/-/220599


Page 2

 この日の園遊会には各分野の功労者など約1400人が出席。愛子さまは、招待者のところまで移動しながら、佳子さまと笑顔で言葉を交わしていた。

愛子さまの装いのスカートは歩みに合わせてふわりと揺れるのも優美な印象。佳子さまと談笑される姿もみられた=2024年4月23日、東京・元赤坂の赤坂御苑、JMPA

 歩みに合わせてふんわり揺れるフレアースカートと弾ける笑顔は、見ている人を微笑ませる明るさ、華やかさがあった。それでいて、清楚なエレガンスさもまとっていた。青木氏はこう続ける。

「愛子さまの装いは、端正でありながらも、可憐な印象です。明るく優しい色と素材に、園遊会デビューをなさった愛子さまの、初々しさも感じられます。

 つばが頭に沿う形(のトーク型)の帽子は、お顔の表情が良く見えて、愛子さまの笑顔が一層引き立ちました」

 その装いで青木氏が見逃さなかったのが、愛子さまの「遊び心」だ。

「注目したのは小粒のイヤリングに合わせたような、小粒のパールを組紐細工のように組み合わせたネックレスです。

愛子さまの装いに「遊び心」を感じた小粒パールのネックレス=2024年4月23日、東京・元赤坂の赤坂御苑、JMPA

 これまで皇族女性の公式行事では定番の、一連のパールのネックレスではなく、こうした小粒の宝石でのデザイン性のあるものを合わせられたところに、愛子さまの遊び心、可愛らしいものを好まれる愛子さまらしさ、を垣間見る思いです。

 既成概念にとらわれないところに、フレッシュな若々しい感性が感じられます」

 この4月から日本赤十字社での勤務が始まり、公務との両立生活に忙しいなか、この日にために小粒のパールのネックレスのコーデを考えられたのかもしれない。なによりデビューにふさわしいフレッシュさがあふれ出ていた。

(AERA dot.編集部・太田裕子)

〇青木淳子/歴史文化学研究者、学際情報学博士(東京大学)。元大東文化大学特任准教授(2020年3月任期満了にて退職)、現在、大東文化大学・フェリス女学院大学・実践女子大学・学習院女子大学非常勤講師。日本フォーマル協会特別講師。著書に『パリの皇族モダニズム』(KADOKAWA)、『近代皇族妃のファション』(中央公論新社)など。大学卒業後婦人画報社(当時)にて、『美しいキモノ』特集号、『結婚の事典』の編集を担当。

関連記事: