「万能型ワクチン」開発進む あらゆるせきや風邪、インフルを予防と米研究チーム

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画像説明, 新たなタイプのワクチンが誕生すれば、冬の風邪におさらばできるのだろうか

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一つのワクチンで、あらゆるせき症状や風邪、インフルエンザ、さらには細菌性肺感染症を予防し、複数のアレルギー症状の緩和すらできるかもしれない――。そんな研究結果が19日、科学誌「サイエンス」に掲載された。

アメリカのスタンフォード大学の研究チームによると、開発中の鼻スプレー型の「万能型ワクチン」は、すでに動物実験をしているが、ヒトへの臨床試験はまだだという。

同チームは、自分たちのアプローチは、200年以上続いてきたワクチンの開発方法からの「根本的な脱却」を示すものだとしている。

ワクチンの専門家たちは、この研究はまだ初期段階ではあるものの「非常にエキサイティング」で、「大きな前進」となり得ると評価している。

従来のワクチンは、免疫システムに働きかけ、特定の感染症を認識して闘うよう訓練する。例えば、はしかのワクチンは、はしかのみを予防し、水ぼうそう(水痘)のワクチンは、水ぼうそうのみを予防する。

これは18世紀後半にイギリスの医師エドワード・ジェンナーが、世界で初めてワクチンを開発してから変わらない原理だ。

従来のワクチンと異なる仕組み

しかし、今回「サイエンス」に掲載されたワクチンは、免疫システムを訓練するのではなく、免疫細胞同士のコミュニケーション方法を模倣するのだという。

鼻腔内に噴射された「万能型ワクチン」は、肺の白血球(マクロファージ)を「警戒態勢」に維持する。つまり、どんな病原体が侵入しようとしても、即座に反応できる状態を整えることになる。

動物実験では、この効果が約3か月持続することが示された。

研究者たちは、こうした警戒態勢を作り出すことで、肺を通って体内に侵入するウイルス量を100~1000分の1に減らしたと報告している。

そして、体内にウイルスがわずかに侵入したとしても、残りの免疫システムが「待機状態にあり、超高速で撃退する用意が整って」いて、反応することが示されたと、スタンフォード大学の微生物学・免疫学教授バリ・プレンドラン氏は説明した。

研究チームは、このワクチンには、ブドウ球菌とアシネトバクター・バウマニという2種類の細菌にも予防効果があると報告している。

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「私たちが万能型ワクチンと呼ぶこのワクチンは、インフルエンザや新型コロナウイルス、一般的な風邪ウイルスだけでなく、私たちがこれまで試したほぼすべてのウイルス、多くのさまざまな細菌、さらにはアレルゲンに対しても、はるかに広範な免疫反応を誘発する」と、プレンドラン教授はBBCに述べた。

「このワクチンの作用の原理は、これまでのあらゆるワクチンの原理からの根本的な脱却といえる」

このワクチンが免疫反応を誘導する仕組みには、アレルギー性ぜんそくを引き起こす、ハウスダストに含まれるダニアレルゲンへの反応を抑える効果もあるとみられる。

「これは本当にエキサイティングな研究成果だ」と、英オックスフォード大学のワクチン学教授ダニエラ・フェレイラ氏は評価する。フェレイラ教授は、今回の研究には関与していない。

フェレイラ教授は、ヒトへの臨床試験で効果が確認されれば、「一般的なせきや風邪、そのほかの呼吸器感染症から人々を守る方法に、変化をもたらす可能性がある」とした。

また、この研究の「強みの一つ」は、この新しいタイプのワクチンがどのように作用するのか、明確に説明している点だと、付け加えた。

フェレイラ教授は今回の研究について、私たち全員に「大きな負担を強いる」感染症の予防法を提供するうえで、「大きな前進となり得る」とも述べた。

実用化への課題は

実験では、ワクチンを鼻腔内に噴射して投与しているが、人間の肺の奥深くまで到達させるには、吸入器で吸い込む必要があるかもしれない。

人間でも同様の効果が得られるのかや、免疫システムの警戒態勢がどれほど持続されるのかは分かっていない。マウスと人間の免疫システムにはさまざまな違いがある。例えば、人間の免疫は数十年にわたる感染経験によって形成される。

そこで研究者たちは、ワクチンを投与した被験者を意図的に感染させ、体の反応を観察する臨床試験を計画している。

また、ワクチンが免疫システムを通常の状態以上に活性化させ、免疫異常を引き起こす可能性もあるかもしれない。

英リヴァプール熱帯医学大学の分子ウイルス学教授ジョナサン・ボール氏は、今回の研究は間違いなく「エキサイティング」だとしつつ、「体を『警戒状態』に保つことで、準備態勢が過剰に整った免疫システムが誤って味方を攻撃することがないよう」注意すべきだと指摘した。

アメリカの研究チームは、免疫システムを恒久的に活性化させるべきではないという考えで、「万能型ワクチン」を既存のワクチンに置き換えるのではなく、補完するかたちで使用すべきだとしている。

2020年初頭に拡大し始めた新型コロナウイルスのように、パンデミックの初期段階で「万能型ワクチン」を使用すれば、特定の感染症向けワクチンが開発されるまで人々の命を救う、時間稼ぎになるかもしれない。

「(万能型ワクチンによって)死亡率や、重症化を抑え、おそらく免疫回復力を高めることができる。そうすれば、非常に大きな効果をもたらすことになる」と、前出のプレンドラン教授は述べた。

加えて、通常ならさまざまな感染症が流行し出す冬の始まりに、「季節的な(ワクチンの)スプレーをし」、あらゆる感染症に対する「広範な免疫を獲得する」というシナリオもあるだろうとした。

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