米大統領、ゼレンスキー氏に領土割譲迫る トマホーク供与拒否=関係筋
Gram Slattery Tom Balmforth [ワシントン 19日 ロイター] - 複数の関係筋によると、トランプ米大統領は17日行ったウクライナのゼレンスキー大統領との会談で、ロシアへの領土割譲を促した。 また、長距離巡航ミサイル「トマホーク」の供与を断ったほか、ウクライナとロシアの双方に安全の保障を提供する考えを示唆し、ウクライナ側を困惑させたという。 ゼレンスキー氏が会談で自発的に領土を割譲することはないと述べると、トランプ氏は前線での即時停戦を提案。ゼレンスキー氏は、トランプ氏が会談後に前線での即時停戦を公に呼びかけた後、記者団に即時停戦を支持する考えを示した。 トランプ氏はその後、大統領専用機上で記者団の質問に答え、戦線を現状で凍結すべきとの見解を強調。 東部ドンバス地方全域をロシアに割譲すべきとゼレンスキー大統領に伝えたかとの質問に「ノー」と答えた上で「現状のままでいい。78%の領土は既にロシアに奪われている」とし、「今はそのままにしておいて、後から交渉すればいい」と語った。 会談はトマホークの供与を求めていたゼレンスキー氏の期待を裏切る結果となった。 米当局者はウクライナとロシアの領土交換の可能性を繰り返し持ち出し、トランプ氏は迅速な合意が不可欠だと主張した。 関係筋は「かなりひどかった」とし、ウクライナがロシアと取引しなければ「あなたの国は凍りつき、あなたの国は破壊される」という趣旨だったと述べた。トランプ氏は会談中、何度か下品な言葉を使ったという。 関係筋は、トランプ氏が前日にロシアのプーチン大統領と行った電話会談が、今回の提案に影響を与えたとの印象を受けたという。 関係筋によると、会談では、米当局者がゼレンスキー氏に、ドネツク州とルハンスク州を明け渡す代わりにザポリージャ州・ヘルソン州の一部を受け取ることを提案した。 ゼレンスキー氏は19日夜のビデオ演説で「われわれは侵略者に何も与えず、何も忘れはしない」とし「われわれは今のロシアが長期的な脅威であることをはっきりと理解している」と述べた。