(まとめ)米国株高や自動車関税の引き下げを受けて日経平均は438円高 今晩は米雇用統計

2025/09/05

前日の米国市場は主要3指数が揃って上昇となった流れを引き継ぎ、日経平均は403円高の42,983円で寄付きました。朝方にトランプ米大統領が、日本の自動車関税の引き下げに関する大統領令に署名したのも追い風となり自動車株への買いも市場を支え、9時9分に640円高の43,220円を付け本日の高値を更新しました。一方で、43,000円を上回る水準では利益確定の動きもあり、高値をつけてからは伸び悩み、前場は310円高の42,890円で取引を終えました。 後場は、今晩発表される雇用統計を前に様子見ムードが広がったことで上げ幅を縮小する展開となりました。13時52分には203円高の42,783円をつけ本日の安値を更新しました。その後は持ち直し、大引けにかけて再び節目の43,000円台を回復した日経平均は最終的に438円高の43,018円で大引けとなりました。

新興市場では東証グロース250指数が続伸、0.9%高の766ポイントとなりました。

2.個別銘柄等

トヨタ自動車(7203)は2.0%高の2,962.5円をつけ続伸となりました。トランプ米大統領が4日、日本車の自動車関税引き下げに関する大統領令に署名したことが発表され、これにより、先行きの業績予測が立てやすくなるなど、米関税政策の不透明感後退を歓迎した買いが入りました。 フジ・メディア・ホールディングス(4676)は2.8%安の3,360円をつけ反落となりました。アクティビストとして知られる村上世彰氏が関わる投資会社が同社の株式を買い増し、村上氏の長女である野村絢氏の保有分と合わせて保有比率は17.33%になったことが判明し、序盤は経営改善要求が強まるとの見方から買いが入るも、買い一巡後は売りが出ました。 伊藤忠商事(8001)は一時2.1%高の8,710円を付け上場来高値を更新しました。日本経済新聞は「京都大学iPS細胞研究財団(京都市)と伊藤忠は、患者の細胞から個別に作る『マイiPS細胞』を安く生産できる専用キットを2025年にも国内外で販売する」と報じ、これを材料視した買いが入りました。 総合化学メーカーのデンカ(4061)は一時5.2%高の2,388円を付け年初来高値を更新しました。国内証券が4日付のリポートで同社の目標株価を従来の2,650円から3,050円に引き上げ、これを材料視した買いが優勢となりました。

物流サービスのAZ-COM丸和ホールディングス(9090)は9.7%安の1,079円をつけ大幅続落となりました。4日、2030年満期のユーロ円建ての転換社債(CB)型新株予約権付社債を発行し、220億円を調達すると発表しており、これによる需給悪化や1株当たり価値の希薄化を嫌気した売りが出ました。発行済み株式総数(自己株式を除く)に対する潜在的な希薄化率は11.39%の見込みとされています。

VIEW POINT: 明日への視点

日経平均は週間で0.7%高となりました。本日は前日の米国株高や、トランプ米大統領が自動車関税を引き下げる大統領令に署名したことが日本市場の追い風となりました。

来週に向けて、今晩の8月の米雇用統計に注目が集まります。非農業部門雇用者数は前月比7万5,000人増と予想されており、前月からの小幅増を見込んでいます。雇用鈍化傾向が続くのか、またFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測を強める内容となるかに注目です。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)

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