【皐月賞 われかく戦う】クロワデュノール・北村友一騎手 「さらに馬がしっかりした感じがします」
(皐月賞、2025年4月20日、GI、中山11R、芝・右2000m)
今週はクラシック3冠の第1戦、皐月賞が中山競馬場で行われる。昨年末に同舞台で行われたホープフルSを制し、最優秀2歳牡馬に輝いたクロワデュノール(栗東・斉藤崇史厩舎、牡3歳)が出陣。デビューから一貫して手綱を取る北村友一騎手(38)=栗東・フリー=を直撃した。主役として迎えるクラシックへの思いや意気込みを聞いた。(聞き手・山口大輝)
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──無傷の3連勝でホープフルSを制覇。レース後の涙が印象的だった
「泣く感じではなかったんですけどね。(ファンの歓声に心を動かされた?)そうですね。一年の締めくくりで、やり切ったなって。あとは勝って上がってくるときの光景が、有馬記念を(クロノジェネシスで)勝ったときとすごく似ていて。ちょっとフラッシュバックしましたね」
──そのクロノジェネシスと同じ斉藤崇厩舎とのコンビで再び大舞台へ
「ホープフルSが終わった後の斉藤先生のコメントを聞いて、いろいろと思ってくださっているんだなと。本当にありがたかったです。その思いに応えたいですし、この先もずっとチームとして結果を残しながら一緒にやっていきたい。そういう思いは、強くなりました」
北村友騎手=栗東トレセン(撮影・岩川晋也)──自身の皐月賞やクラシックに対する思い
「あまり意識はしていません。クラシックでも気持ちは一緒。クロワデュノールとともに挑む一戦と捉えて、目の前の一戦で結果を残すことが大事だと思います」
──デビュー当時から期待値の高かった馬。その通りにここまで来たが、ジョッキー自身、プレッシャーは感じるか
「ないですね。クロノジェネシスのときも緊張しなかったですから。もともと、そういう性格なんだと思います。人間が緊張しても、馬が走ってくれるわけじゃないですし。馬の力を発揮するためにやるべきことを全てやり尽くした上で、あとは馬を信用して一緒に走り切るところにフォーカスしているだけだと思います。歓声を浴びたら緊張するのかな? しないですよね、多分」
──ホープフルSと同じ中山芝2000メートルが舞台。前走は脚を図っているというか、将来に向けて試しているようなレースだったようにも見えた
「正直、試す余裕はなかったです。ただ、自分の中でこれくらいから動いて、最後までしっかりと脚を使うという感覚が、一つの引き出しとして持てたかなとは思います。でも、今回は相手の状態も枠順も、馬場の状態も違いますから。経験できたことはよかったと思いますが、先入観は持たないようにと思っています」
──1週前追い切りは栗東CWコース3頭併せで6ハロン81秒1─10秒9をマークして最先着。抜群の動きだった
「シンプルにすごく良かったです。先週(2週前)から、ガラッと変わっていました」
──調教が良化した今だからこそ感じる成長は?
「(調教は)これまでで今回(1週前)が一番、良かったです。さらに馬がしっかりした感じがします。直線でコロコロ手前を替えるところがあって、そこをしっかり走らせてあげないといけないという課題を持っていましたが、そういうところがなく、しっかりした動きをしていましたね」
──無敗で挑む皐月賞。おそらく1番人気に支持される
「すごく注目される馬で、期待値も高い馬。それに応えられるように頑張りたいという思いはあります。ただ、それよりもクロワの能力をしっかりと、その一戦に向けて出し切るということが、大切なんじゃないかなと思います」
■北村友一(きたむら・ゆういち) 1986(昭和61)年10月3日生まれ、38歳。滋賀県出身。2006年3月に栗東・田島良保厩舎からデビュー。08年デイリー杯2歳S(シェーンヴァルト)で重賞初勝利。19年大阪杯(アルアイン)でGⅠ初制覇。20年にはクロノジェネシスで春秋グランプリを制覇した。14日現在、JRA通算1万884戦939勝(うち重賞はGⅠ6勝を含む35勝)。164・5センチ、51キロ。
★ホープフルS・VTR
出入りの激しい展開になったが、道中は中団待機。3コーナーで早めに進出し、直線もグイグイと伸びて快勝した。北村友騎手は2020年有馬記念(クロノジェネシス)以来のGⅠ制覇。お立ち台で「またGⅠを勝つことができました」と感極まって涙を流した。21年5月に落馬、背骨などを骨折する重傷で約1年間、戦列を離れ、クロノのキャリア終盤で騎乗できなかった。クロノも管理した斉藤崇調教師は「あの時できなかったことをこの馬(クロワデュノール)と一緒に実現できれば最高ですね」とねぎらった。