自閉症の子どもと親へのマインドフルネスの効果を検証。研究
- 自閉症の親はマインドフルネスでどのように効果を実感できるのですか?
- ストレス軽減や自分の気持ちに気づきやすくなることが報告されています。
- 子どもの社会的応答性にはマインドフルネスの取り組みでどんな変化がありますか?
- 周囲との関わりに対する反応が良くなる傾向があります。
- マインドフルネスの効果はどのくらい続き、どうすれば長持ちさせられますか?
- 研究では期間や方法により異なり、長期間継続することが望ましいと示唆されています。
自閉症は幼児期から社会的なやり取りの難しさや繰り返しの行動などがみられる特徴があります。 世界では約1〜2%の人が自閉症と診断されており、多くの親は診断を受けたとき、戸惑いや不安、悲しみ、混乱を感じます。
このような状況で、親は子どものケアをしながら、自分自身の心の負担を抱え込み、疲れやすくなることがあります。
自閉症の支援には行動療法や認知行動療法、言語療法などがあり、親が積極的に関わることが求められます。
しかし、親自身の精神的な健康を守る支援は十分とは言えず、親が疲れやストレスを抱え込んだまま子どもの支援を続けることが問題となっています。
このような中で注目されているのが、マインドフルネスに基づく介入(MBI)です。
マインドフルネスは、自分の気持ちや体の感覚をただそのまま感じ取り、今この瞬間に集中する方法です。 これにより、親はストレスや不安を軽減し、自分自身の気持ちに気づきやすくなり、子どもへの関わり方を穏やかに保つ助けとなる可能性があります。
このマインドフルネスの効果について、中国のレシャン職業技術大学看護学部、四川大学華西病院心臓内科、電子科技大学綿陽中央病院医学部の研究チームにより調査されました。
研究チームは2024年12月31日までに発表された世界中のマインドフルネスに基づく支援についての研究を幅広く集めました。 対象となったのは、自閉症の子どもとその親がマインドフルネスの支援を受けた研究で、合計で12件のランダム化比較試験(RCT)が選ばれました。
この中には、643人の自閉症の子どもとその親が含まれています。
研究チームは、どの研究が信頼できるかを丁寧に確認し、親子にとってマインドフルネスがどれだけ役立つかを整理しました。 また、研究を公正かつ正確に進めるために、研究の前に第三者機関に登録し、結果をまとめる際には内容の差が小さい場合はそのまま比べ、差が大きい場合には条件をそろえて比べる方法で進めました。
研究の結果、マインドフルネスを取り入れた親は、取り入れなかった親に比べてストレスが減り、不安や落ち込みの気持ちが軽くなり、日常生活の中で自分の気持ちの動きに気づきやすくなることがわかりました。 また、自閉症の子ども自身も、周囲の人との関わりの中で反応が良くなるなど、社会的な応答性が高まる効果が見られました。
具体的には、親のストレスが減少したこと、親自身の不安や抑うつ、ストレスが軽減したこと、親が日常の中で自分の気持ちに気づきやすくなったことが示されています。 また、子どもについては、社会的な応答性が向上したことが確認されました。
一方で、子どもの問題行動そのものが大きく減少したかどうかについては、今回の分析では明確な結果は得られませんでした。 また、親の心の回復力が高まったかどうかについても、はっきりとした差は確認されませんでした。
これらの点については、今後さらに詳しく調べていく必要があります。
この研究では、マインドフルネスを取り入れることで親が自分の気持ちに気づきやすくなり、感情を整えることができるようになることが報告されています。 これにより、親が子どもに接するときに余裕を持つことができ、育児の中でのストレスが軽減される可能性があります。
結果として、子どもとのコミュニケーションが良くなり、親子の関係が穏やかになることが期待されています。
また、子どもの年齢によって効果の出方が異なる可能性が指摘されています。 年齢が高くなると集中力が増し、マインドフルネスの練習に取り組みやすくなるため、より良い効果が出るのではないかと考えられています。
さらに、取り組む期間が長いほど効果が出やすい可能性があり、今後どのくらいの期間取り組むことが最も効果的かを調べることが課題となっています。
この研究はアジアや欧米地域の研究データを中心に行われていますが、他の地域での検証も必要であることが述べられています。 また、研究によってマインドフルネスの取り入れ方や期間、頻度、指導者の経験などが異なっており、どの方法が最も効果的かについては今後の研究が求められています。
今回の研究は、自閉症の子どもを育てる親の負担を軽減し、親自身が安定することによって子どもへの対応力が高まり、子どもの発達や行動にも良い影響を与える可能性を示しています。 ただし、その効果がどれだけ続くのか、どのように取り組むのが最適なのかについては今後さらに詳しく調べる必要があります。
マインドフルネスは特別な道具や場所を必要とせず、日常生活の中で取り入れやすい方法です。 親自身が心の健康を保つことは、子どもの支援を続けていくためにとても大切です。 今回の研究は、マインドフルネスを取り入れることが親子の生活を穏やかにし、少しでも安心して過ごせる時間を増やす可能性があることを示しています。
今後、この方法がさらに研究され、より多くの家庭で活用されることが期待されています。
(出典:frontiers)(画像:たーとるうぃず)
親自身が心の健康を保つ。
たしかに何より重要だと思います。
私もこれまで親子共に笑顔でいられることを一番に考えてきました。
マインドフルネス。 その極意を追求する必要もないと思うので、効果が認められているのですから、手軽に気楽に取り組んで見るといいかと思います。
(チャーリー)