ウクライナからのロシアへの回答、ジェット推進型ドローン迎撃機を投入
ロシア軍の自爆型無人機による攻撃は迎撃ドローンの登場によってコスト交換比が逆転してしまい、ターボジェット搭載のゲラン4とゲラン5に重点を置いた生産体制に切り替えてきたが、ウクライナもジェット推進型ドローン迎撃機や400km/h以上のスピードを発揮できるドローン迎撃機を投入し始めた。
参考:Defence Forces arsenal expands with the addition of Ukraine’s first jet-powered drone interceptor, Alexa Spatium 参考:В Україні випробовують нові реактивні дрони-перехоплювачі зі швидкістю понад 600 км/год 参考:Перехоплювач ZIRKA став доступний на DOT-Chain та Brave1 Market 参考:Реактивні «Шахеди» почали збивати дрони LITAVR+ зі швидкістю 400 км/год
ウクライナ国防省情報総局のヴァディム・スキビツキー少将はRBC-Ukraineの取材に応じ、この中で「8月に予定されている攻撃用無人機(ゲラン1、ゲラン2、ゲラン3、ゲラン4、ゲラン5、ハルピヤ、ゲルベラ、ゲルベラ・カミカゼ、ゲルベラ・シーカー)の生産量は1万1,000機で、7月の無人機による攻撃頻度や規模を縮小して生産量も減らしてきた。これはターボジェットを搭載したゲラン4とゲラン5に重点を置いた生産体制に切り替えを進めているためで、既に攻撃の約半分はターボジェット搭載機によるものだ。そのため相応の速度を持つ別の迎撃手段や小型の防空システムが必要になってくる」と言及。
ロシア軍が運用するシャヘド型無人機 最大速度 最大到達距離 弾頭重量 ゲラン1/シャヘド131 約180km/h 約900km 約15kg ゲラン2/シャヘド136 約185km/h 約1,000km~2,500km 約40kg~50kg ゲラン3/シャヘド238 約350km/h~500km/h 約1,000km 約50kg~90kg ゲラン4 約500km/h 約450km 約50kg~90kg ゲラン5 約450km/h~600km/h 約950km~1,000km 約90kg高速化したゲランの脅威や対抗手段に関しては弾道ミサイルほどの非対称性はなく、迎撃ドローンの高速化やAI制御によるインタセプトが着々と配備され始めているため、戦場において大きなインパクトを残せるとは思えず、高速化した代償としてゲラン4やゲラン5に搭載するエンジン供給は完全に中国に依存し、エンジンの価格も1基あたり3.5万ドル~4万ドルと非常に高価だ。
ピストンエンジン搭載のゲラン2は1機あたり3万ドル~5万ドル(改良バージョンは推定8万ドル)だったが、ターボジェット搭載のゲラン3は8万ドル~15万ドル、ゲラン4は20万ドル~30万ドル、もはや巡航ミサイルに近いゲラン5は10万ドル~30万ドルだと予想されており、これが高速化した迎撃ドローン(1万ドル以下)で対処可能と実証されればロシアによる自爆型無人機による飽和攻撃は「攻撃と防御のコスト交換比」に耐えられなくなって終焉を迎えるかもしれない。
— Defense of Ukraine (@DefenceU) August 21, 2026
ウクライナ国防省も21日「ゲラン3、ゲラン4、ゲラン5を迎撃するため設計されたウクライナ初のジェット推進型ドローン迎撃機=Alexa Spatium(アレクサ・スパティウム)が国防軍の武器庫に加わった」と発表、ウクライナのディフェンスメディア=Militarnyiも「このドローンはターボジェットエンジンを搭載し、高い飛行高度、長い航続距離、そして低高度および中高度での運用能力を備えている」「このシステムはあらかじめ設定された座標での運用、直接誘導モードの両方で使用でき、カメラと赤外線による捜索・照準システムを用いる」「任務遂行に失敗した場合は発射地点に帰還させて再利用する可能性も考慮されている」と報じた。
アレクサ・スパティウムの詳細なスペックは不明だが、フェドロフ元国防相は8月「ロシアのジェットドローンに対抗するため設計された最初のジェット推進型ドローン迎撃機が実戦でテストされている」「このジェットドローンは600km/hを超える速度を出すことができる」と述べたことがあり、このジェットドローンがアレクサ・スパティウムのことを指しているのかどうかは不明だが、仮に別のジェット推進型ドローン迎撃機だったとしてもターボジェットエンジン搭載の迎撃機が複数存在することを示唆しているため、ゲラン3、ゲラン4、ゲラン5が優位性を失うのは時間の問題だろう。
さらにウクライナ軍のマーケットプレイスには目標の自動検知および終末誘導(自動追尾)機能を備えた迎撃ドローン=ZIRKA(ジルカ)が登場し、1機あたりの価格は約7万7千ウクライナ・フリヴニャ(約1,700ドル/約27万円)で、既に終末誘導機能を備えた迎撃ドローンはいくつか存在するものの、その多くは高価な海外製の追加オプション設定に留まっており、ウクライナ軍部隊はジルカの登場で「終末誘導機能を備えた迎撃ドローン」を手頃な価格でマーケットプレイスから直接入手できるようになった。
ジルカは従来式の電気推進方式だが、このタイプとしては非常に高速(340km/h以上)な部類に入り、オンボードAIでカメラで捉えた目標がロシア製無人機なのかどうかをリアルタイムで識別し、最大1kmの距離で検知した目標に向けて自律的に追尾を開始するため、ドローンオペレーターは最終突入時の接近速度を調整するだけで済むらしい。ジルカは2026年5月頃には複数の専門部隊で実戦配備が始まっていたため、ジルカは満を持してマーケットプレイスに登場して全ての部隊が購入可能になった格好だ。
ちなみにジルカの存在意義は「終末誘導機能を備えた迎撃ドローン」を手頃な価格で入手できるようになったという点にあり、今年6月に登場した迎撃ドローン=LITAVR(リタヴル)は終末誘導機能、遠隔通信機能、海外製部品への依存を最小限にしたモデルで、改良モデルのLITAVR+は速度が350km/hから400km/h以上に引き上げられ、既にターボジェット搭載のゲランを後方上空から迎撃し始めている。
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※アイキャッチ画像の出典:Міністерство оборони України