レスキューに行ってみたら「亡骸のほうが多かった」倒れた保護活動家の自宅で、犬猫の「飼育崩壊」|まいどなニュース

関西のある一軒家で起きた保護活動家の飼育崩壊現場(「動物保護団体わんらぶ」さん提供、Instagramよりキャプチャ撮影)

「急遽…保護受け入れの要請があり、緊急レスキューへ動きました」

そうSNSに投稿したのは、三重県伊賀市を拠点に活動する「《一般社団法人》動物保護団体わんらぶ」さん(@animalrescueonelove)。母と娘で運営し、犬猫の保護や医療ケア、譲渡活動を行っている団体だ。

今回、関西のある一軒家で起きていたのは、いわゆる「多頭崩壊」ではなく、保護活動家による飼育崩壊だった。

連絡は“崩壊主の娘”から

レスキューのきっかけは、家の主である保護活動家の娘さんからの連絡だったという。

「崩壊主の娘さんより連絡が入りました」

現場となったのは、その活動家が暮らしていた自宅。倒れた母親を訪ねた娘さんが目にしたのは、想像を超える光景だった。

生存6頭、遺体15体、さらに庭からは骨が…

団体が現地で確認した頭数は以下の通りだ。

・生存猫 5頭・生存犬 1頭・室内の遺体 15体

・花壇やプランター内の遺骨 多数(頭蓋骨のみで29)

「最初に聞いた頭数はアテにならない」と団体は語る。こうした現場では、隅に隠れている子や、亡骸の下で生き残っている子がいることもあるという。

室内は“数年単位”の蓄積

室内の状態について、団体はこう説明する。

「長年蓄積された排泄物が層になっていました。台所、床、テーブル等すべてがふん尿にまみれていました」

尿でさびた家具や檻、乾いて積もった排せつ物。数年単位で環境悪化が続いていたことが推測された。庭の植え込みやプランターを掘ると、骨が溢れるように出てきたという。

これは“多頭崩壊”ではなく「飼育崩壊」

団体は今回の件を「多頭崩壊」ではなく「飼育崩壊」と位置づける。

「行政ともやりとりをしていた保護活動家による飼育崩壊は、ここ数年課題となっています」

最初は純粋な思いで始めた保護活動。しかし、頼まれるまま受け入れ、キャパシティを超え、やがて麻痺していった可能性があるという。

「保護犬や保護猫は天から降ってきません。誰かが捨てた命を、この方は拾っていたのです」

飼育崩壊現場での生き残り捜索(「動物保護団体わんらぶ」さん提供、Instagramよりキャプチャ撮影)

“殺処分ゼロ”のその先へ

団体は、保護活動家だけを責めることには疑問を呈する。

「社会の無関心さと、保護活動家に託して後は知らんぷりをする一般の方にも課題があると感じています」

さらに、行政にも問いかける。

「殺処分ゼロを目的とするのではなく、殺処分ゼロのその先を目指さなければならない」

殺処分予定だった命がボランティアに託され、現場の負担が増している現状もあるという。

 助けを求められなくなる空気

投稿には、崩壊した活動家を責める声が多く寄せられた。しかし団体はこう訴える。

「この怒りが、助けを求めることすら許さなくしています」

崩壊を擁護するわけではない。だが、行き場のない犬や猫に誰も手を差し伸べなかった結果、1人の活動家に命が集中した側面もあるという。

保護されたワンちゃんのカスミくん(「動物保護団体わんらぶ」さん提供、Instagramよりキャプチャ撮影)

生き残った命

生存していた猫5頭は、つながりのあるボランティア団体へ引き継がれた。犬は「カスミくん」と名付けられ、わんらぶで心身のケアを受けている。

「新しい飼い主さんへ命を繋いでまいります」

防ぐためにできること

団体が挙げたのは、個人の意識だ。

「1人ひとりが社会問題として捉えること。そして飼う前に、最期まで適切に飼えるかを考えること」

もし、安易な遺棄がなければ…もし、早い段階でSOSが出せる環境があれば…今回の現場は、防げたかもしれない。保護活動は、善意だけでは成り立たない。“殺処分ゼロ”のその先にある責任を、社会全体がどう引き受けるのか。重い問いが突きつけられている。

もし、安易な遺棄がなければ…もし、早い段階でSOSが出せる環境があれば…防げたかもしれない(「動物保護団体わんらぶ」さん提供、Instagramよりキャプチャ撮影)

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