50代以上の7割、加齢による心身の機能低下「フレイル」に不安 孤独感も要因 民間調査
超高齢化社会が進むなか、加齢により心身の機能(筋力、認知機能、社会とのつながりなど)が低下する状態を指す「フレイル」への対策に関心が高まっている。50代以上の7割がフレイルに強い不安を感じており、孤独感が高い人ほどその傾向がみられるといった意識調査の結果が発表された。
「健康寿命」を縮める恐れも
フレイルとは、一般社団法人「日本老年医学会」が2014年から提唱している、「か弱さ」や「もろさ」を意味する英単語〝frailty〟の訳語で、それまで「虚弱」や「老衰」などと表現されていた、加齢により心身が老い衰えた状態をいう。年齢層は明確ではないが、80代ごろから比率が増えるとされる。フレイルやその危険が高い状態を放置しておくと、健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく過ごせる期間)を失ってしまう恐れがある。
身体的側面での予防にとどまる
今回のフレイルに関する意識調査は、50歳以上向けのマッチングサービス「ハハロル」を運営する「超楽長寿」(東京都中野区)が、全国の50〜79歳の未婚男女2000人を対象にインターネットで行った。
将来の健康についてどのようなことに強い不安を感じているか聞いたところ、「認知症になること(66.8%)」や「生活習慣病になること(65.9%)」を上回り、「フレイルになること」が最も多かった(74.5%)。
「フレイル」と聞いてどのような状態を思い浮かべるかについては、「筋力の低下や体力の衰え(身体的側面)」が49.9%で最多、次いで「物忘れや意欲の低下(心理・精神的側面)」が29.1%、「人と関わりが減ることや孤独(社会的側面)」が18.8%となった。男女別では、「人との関わりが減ることや孤独」を選択した割合は男性16.9%、女性23.8%となり、男性のほうが社会的側面をフレイルとして捉える人が少ない傾向にあった。
フレイル予防のために現在行っていることについて聞いたところ、最も多かったのは「運動や体力づくり(44.2%)」で、次いで「食事・栄養の管理(33.9%)」、「定期的な通院・健康診断(29.7%)」といった、身体的側面を中心とした取り組みが上位を占めた。
一方、「友人や家族との交流」は17.2%、「新しい人との出会い」は5.5%にとどまり、人とのつながりを意識した取り組みは少なかった。
将来の健康不安と孤独感との関連についても調査した。孤独感の測定には、米国の大学の研究者たちが1970年代に考案した「UCLA孤独感尺度」が使用された。心に抱える主観的な孤独感を数値化するもので、測定の結果、低孤独層が64.5%、中孤独層71.9%、高孤独層76.7%と、孤独感別の全ての層で6~7割と最も高い「健康不安項目」として、フレイルが挙げられた。
これらの結果から、フレイルのイメージや予防行動は「身体的側面」に偏っており、人とのつながりや新たな出会いといった「社会的側面」については、認識や実践がなされていない実態が明らかにされた。
厚生労働省が示す「フレイル予防」の基本指針では、「栄養」「身体活動(運動)」と並び、他者との関わりを持つ「社会参加」が位置づけられている。
「人との良質なつながりを育む」
東大高齢社会総合研究機構の田中友規特任助教は、「社会性の低下は、その後の心や体のフレイルにつながりやすい。一方で、単に同居者や知人がいれば十分というわけではなく、家族と同居していても一人で食事をしている高齢者では、家族と一緒に食事をする人に比べて、抑うつ傾向やフレイルが多いことが示されている。 無理に人間関係を増やすことではなく、自分に合った良質なつながりを、日々の暮らしの中で育んでいくことが大切」と指摘した。