宇宙からガン見する「神の目」。その詳細をウェッブ宇宙望遠鏡が撮影

宇宙には、巨大な「目」のように見える星雲があるのをご存知でしょうか。

その名はらせん星雲。場所は、みずがめ座の方向で、地球から約650光年の距離にあります。

星が寿命を終えたあとに残したガスでできた天体です。中心が黒目のように暗く、その周囲を明るい輪が取り囲む姿は、『ロード・オブ・ザ・リング』に登場するサウロンの目や、新宿駅西口にある「新宿の目」を思い出す人もいるかもしれません。

あまりにも目に見えるその姿から、らせん星雲は「神の目」という愛称でも親しまれています。

そんな“宇宙の目”を、ウェッブ宇宙望遠鏡が、これまでにない近さで捉えました。

そもそも、なぜ「目」に見えるのか?

らせん星雲が不思議なほど目に見えるのは、偶然が重なった結果です。

冒頭で「終わった星」と書きましたが、この星雲を作った星は、超新星爆発のように一気に吹き飛んだわけではありません。

超新星爆発を起こすのは、太陽よりもずっと重い巨大な星です。一方、らせん星雲を作ったのは太陽と同じくらいの星でした。

この星は、長い時間をかけて年をとり、最後には外側のガスを静かに宇宙へ放出しながら寿命を終えました。その結果、中心には小さくて非常に熱い芯だけが残ります。これは「白色矮星」と呼ばれています。

この白色矮星からは、強い光とともに、かつて星自身の一部だったガスが吹き出しています。

そのガスが、過去に放出されて周囲に広がっていた冷たいガスやちりにぶつかることで、炎の柱のような模様が生まれました。

さらに重要なのが、私たちがこの星雲を正面から見ているという点です。

実際には、らせん星雲はドーナツや筒のような立体構造をしています。それを真正面からのぞき込む角度にあるため、中心が強調され、輪郭がはっきりした「目」のような姿に見えるのです。

ウェッブ望遠鏡だから見えたもの

説明が長くなりましたね。

今回、ウェッブ望遠鏡に搭載されたNIRCam(近赤外線カメラ)を使って、らせん星雲をクローズアップで観測しました。

赤外線で観測することで、人の目では見えないガスの動きや温度の違いまで捉えることができたのです。

画像には、彗星のように見える小さなかたまりや、星から吹き出す高温のガスの風、そして何層にも重なったガスの壁が、はっきりと映し出されています。

白色矮星そのものは画像の外にありますが、星雲の中心に位置しています。

そこから放たれる強い光が周囲を照らし、ガスはラザニアのように層を重ねた構造を作っています。

中心に近いほどガスは高温で、原子がバラバラになった状態です。

少し離れると、水素がペアになった分子のガスが広がり、さらに外側では、ちりに守られた場所でより複雑な分子が生まれ始めています。

これらはすべて、やがて惑星や新しい星の材料になる可能性を秘めています。

色からわかること

ちなみに、この画像に使われている色は、単なる演出ではありません。

ガスの温度や状態の違いを示しています。

青い部分は最も高温のガス、黄色い部分は冷えて水素が分子になり始めた場所、赤みのある部分はさらに冷たく、ガスがちりへと変わりつつある領域です。

こうした色分けによって、星雲の中で何が起きているのかが一目でわかるようになっていると、NASAは説明しています。

それにしても大迫力な「神の目」。地球からの距離は比較的近い部類に入るらしいので、条件があえば、双眼鏡でもぼんやりと見えるようですよ。

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