新型「スカイライナー」導入や「少ない線路」の改良も検討 京成、空港アクセス強化策を発表
京成電鉄は、21日に発表した「京成グループ中期経営計画『D2プラン』」において、空港アクセス強化を推進する方針を示しました。
京成上野~成田空港間を走る現行の有料特急「スカイライナー」成田空港では、利用者増加への対応や、国際競争力の確保を目的に、機能強化が進められています。現在は新たな滑走路の建設が進められており、将来的には現在3つある旅客ターミナルを1つに統合することも検討中。現在は発着能力が年34万回のところ、将来的には年50万回となる予定で、旅客数、従業員数はともに現在の2倍となることが見込まれています。
京成が導入する押上~成田空港間の新型有料特急車両(イメージ)京成では、成田空港の機能強化に対応し、押上~成田空港間を走る新型有料特急を、2028年度に導入することを発表。加えて、既存設備の改良や、新型「スカイライナー」の導入により、空港アクセス強化を推進するとしています。
新型有料特急は、成田空港の機能強化に対応した輸送力増強や利便性向上に加え、現在は一般列車しか運転していない押上方面の新規需要の獲得を目指すもの。押上エリアでは、京成グループによるバス路線やホテルがあり、エリア価値向上と各事業へのシナジー効果が期待できるとしています。
押上駅発着の有料特急導入による効果また、段階的に増えていく空港輸送の需要増加への対応策として、次期スカイライナー車両の導入にについても検討。その際、現在は8両編成で運転しているところ、次期車両では長編成化による輸送力増強も視野に入れるとしています。
空港アクセス強化における「京成グループにおける考え方」としては、線路改良も検討内容に挙げられています。成田スカイアクセス線では、成田湯川~成田空港間が単線区間となっており、運転本数に制約があります。加えて、空港第2ビル駅と成田空港駅は、成田スカイアクセス線と京成本線がホームを半分ずつわけあう形で、特に成田空港駅では折り返し時の制約があります。同社では、輸送力の増強に向け、単線区間の複線化や、折り返し機能の改善を図ることが必要だとしています。
成田空港周辺における線路の制約成田スカイアクセス線では、上記2点以外でも線路容量や線形などの施設上の課題があると説明。さらに京成高砂駅では、京成本線、金町線、成田スカイアクセス線・北総線が乗り入れるのに加え、高砂車庫への出入庫があることにより、輸送におけるボトルネック箇所となっています。同社はこれら箇所の改良も必要だとしており、特に成田スカイアクセス線内については、改良の検討を進めるとしています。
成田空港アクセス関連の施策このほか、現在進めている宗吾車両基地の拡充工事においては、新工場の建設に加え、留置線を増設することで、成田空港の機能強化による中長期的な需要増加に対応するとしています。
鉄道以外では、成田空港発着の高速バスの増便や、就労人口の増加を見据えた居住・生活環境の整備、プロモーションの強化などを実施し、成田空港の機能強化に対応していく方針です。
京成が掲げる成田空港機能強化に対応するロードマップなお、京成グループによる成田空港関連の施策は、2025年度~2027年度を対象とした今回の中期経営計画「D2プラン」期間内にとどまらず、D3プラン以降も大規模な投資が継続する見込み。京成では、これらの投資効果が具現化するのは、2030年代~2040年代以降を想定していると説明しています。