川勝平太前知事がリニア巡りメッセージ 南アルプストンネル工事は「万死に値するほど誤った決定」「JR東海は過ち認める勇気を」=静岡県

静岡県の鈴木康友知事が7月7日、静岡工区の着工を容認してから4日。 川勝平太前知事が11日、リニア工事に反対する市民団体が開いた集会にメッセージを寄せました。 川勝前知事は「静岡県だけが工事を遅らせたという説明は虚言だった」とJR東海を批判したうえで、「南アルプスに計り知れない危害を及ぼそうとしている。万死に値するほど誤った決定」などと訴えています。 ■メッセージ全文(原文ママ) 【リニアは静岡とは無縁】 そもそも、リニア中央新幹線のプロジェクトは静岡県にはまったく縁のなかったものです。 静岡県知事になる前、私は20世紀の末から国土審議会の委員をつとめていたことから、リニア計画のことはよく知っており、実験線にも試乗していました。 リニアのルートは、東京都と大阪府との間を、神奈川県―山梨県―長野県―岐阜県―愛知県―三重県―奈良県で結ぶという計画であり、静岡県がルートとして話題にのぼったことは一度すらありません。 ルート上の都・府・県は「建設促進期成同盟会」を結成し、リニアの通過を認める見返りに、各県に駅を設置せよと誘致運動をおこし、ついにJR東海に駅の設置を認めさせました。そのリニア通過県の駅誘致運動にも、静岡県は当初から、同盟会のメンバーに誘われたこともなく、一切かかわっていません。リニアは元々、静岡とは無縁のものでした。 【経緯】 知事になって数年後のこと、突然、静岡県がリニアのルート上に組み込まれました。そして、JR東海社長いわく、「品川―名古屋間は2027年に完成する予定でおり、南アルプストンネル工事を静岡県が許可しなければ、2027年の完成がおぼつかない」と。 その社長は、記者会見などで、同じ内容を繰り返し、高飛車な態度で一方的に静岡県を責めたて、世論を煽りました。 社長は虚言(ウソ)をついていました。 社長の発言がウソであるとわかったのは、その社長が2023年に会長になり、新社長になって一年経った2024年3月29日、国交省が設置したモニタリング会議の席で、委員長から二度にわたって問い詰められた新社長が、工事の遅れは、静岡だけではなく、他県でも大幅に遅れており、2027年開業はできないと、具体的数字を挙げて、正直に告白したからです。 その会議の詳細について、国交省モニタリング会議の委員長が、4月2日に知事室に来られて報告してくださいました。 JR東海が正直という徳に立ち返ったことを喜びました。 それは新しいスタートラインを画する節目でした。 委員長には、今後のリニア問題の解決を一任すると述べ、委員長が知事室を出た30分後に辞任を表明しました。 今後、リニア工事には、不測の事態が起こると予想されます。 その際、真実を隠さず、正直を旨とし、万機公論に徹し、互いに胸襟を開けば、困難はかならず乗り越えられます。 気品のある霊峰富士山を抱く静岡県民は、虚言・ウソ・偽りを嫌います。 静岡県には「公務員八か条」があります。第二条は「嘘・偽りを言わない」と謳っています。 静岡県を狙い撃ちにして、社長が、不都合な真実を隠しつづけ、工事の遅れは、ひとえに静岡県の工事ができないせいだ、と虚言(ウソ)を吐き続けたのは、範を垂れるべき大企業のトップの、あるまじき所業であり、企業倫理にもとります。 まことの武士ならば切腹ものです。 今月初め、浜岡原発が、データを不正に操作し、規制委員会の調査が始まってからも、データ改ざんを続けたと報道されました。リニアは巨大な電力を必要とし、リニアを動かす電力源は原発です。 JR東海や原発をあずかる大企業が、平然と続けた「嘘・偽り」は、社会の公正と安全を脅かすものであり、県民の生命・財産をあずかる県政のトップは、それを不問に付すべきではありません。問われているのは、トップに立つ者の、天下に恥じない道徳規範です。

静岡放送(SBS)
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