天の川に20年も強い電波を出し続ける正体不明の天体を発見 (2/3)
研究チームはまず、電波を出すことで知られる恒星と比べました。
表面で突発的な爆発を起こす星(フレア星)と比べると、この天体は電波で約10億倍も明るい値でした。
磁気活動の活発な連星と比べても、約100万倍明るいことになります。
比較的近いとされる磁場の強い激変星(爆発的に明るさを変える連星の一種)でも、差は約10万倍ありました。
つまり、ふつうの星の活動では、この明るさはとても説明できないのです。
次に考えられるのは、星の表面で爆発が起きる新星です。
新星も電波を出しますが、その電波が続くのは数日から数年ほどです。
NASAのチャンドラX線観測衛星で調べられた新星、ペルセウス座GK星の画像です。 この星は1901年に突然、空で指折りの明るさになって数日輝き、その後ゆっくり暗くなっていきました。Credit: NASA/Chandra X-ray Observatory Center(Public domain(NASA))この天体は何十年も電波を出し続けており、5〜8ギガヘルツの周波数で比べたピークの明るさも、典型的な新星を上回っていました。
新星なら見えるはずの、特定の色だけが強く光る線(輝線)の数々も見られませんでした。
では、かに星雲のように、高速で回る中性子星(パルサー)の力で光る天体ならどうでしょうか。
かに星雲は、中心のパルサーが粒子を送り込み続けることで、約1,000年にわたって光っています。
ハッブル宇宙望遠鏡が撮った画像をつなぎ合わせて作った、かに星雲の姿です。 星が超新星爆発を起こした跡が幅6光年ほどに広がっていて、ハッブルの画像の中でも特に大きな1枚です。Credit: NASA, ESA, J. Hester and A. Loll (Arizona State University) / Wikimedia Commons(Public domain)この天体の電波の性質や明るさも、若いパルサーの力でまかなえる範囲でした。
しかしこうした星雲は、数百年から数千年かけてゆっくり変わるのがふつうです。
この天体はわずか20年ほどの観測のあいだに再び明るくなり、電波が最も強く出る周波数まで動いていました。
遠い銀河の中心にある巨大ブラックホール(活動銀河核)が同じ方向に重なって見えている、という説明も、総合すると考えにくいとされました。
さらに不思議なのは、電波を出している領域の大きさです。
これほど明るいのに、光っている領域は木星の軌道ほどの大きさしかありません。
しかも5年間の観測で、この領域はほとんど、あるいはまったく膨らんでいませんでした。
超新星の爆発の跡であれば、領域はとても速く広がっていくはずです。
超新星の跡「カシオペヤ座A」を、チャンドラX線観測衛星が最初に写したX線画像です。 重い星の爆発から約320年で差し渡し10光年ほどに広がっていて、外側には速く進む衝撃波が写っています。Credit: NASA/MSFC(Public domain(NASA))残る有力な候補は、中性子星やブラックホールのような小さく重い天体に、ガスが落ち込み続けているという考えです。
落ち込むガスのエネルギーなら、強い電波も、小さく光る領域も自然に説明できます。
実際、この天体の相棒として、青白く光るB型かそれより高温の星があると見られています。
こうした組み合わせは、X線を強く出す連星(X線連星)として知られています。
ところが、X線観測衛星スウィフトで調べても、X線はとらえられませんでした。
格納庫で技術者が手直しをしている観測衛星スウィフトです(アメリカ・フロリダ州のケープカナベラル空軍基地)。 スウィフトは宇宙の大爆発「ガンマ線バースト」を調べる衛星で、3つの装置でガンマ線・X線・紫外線・目に見える光をとらえます。Credit: NASA/KSC(Public domain(NASA))電波の明るさから見込まれるX線と比べると、この天体はX線が暗すぎたのです。
エネルギーが1回の大きな噴き出しで出ただけなら、電波は10年もたたずに弱まるはずだとも計算されました。
20年にわたって見え続けていることや、はっきりした増光がいくつも見られないことなどから、エネルギーは絶えず補給されていると考えた方が自然だとされました。
ただし、噴き出しが何度もくり返された可能性も、まだ消えてはいません。