円は最大15%上昇も、日米金利差縮小や安全資産需要で-BNPパリバ

BNPパリバ・アセット・マネジメントによると、日本の金利上昇を背景に、円は1ドル=130円程度まで上昇する可能性がある。

  世界で最も売られた通貨の一つだったこともある円は、日本銀行の利上げや米連邦準備制度理事会(FRB)の金融緩和政策再開に伴い、現行水準から10-15%上昇する可能性があると、グローバルアグリゲート・アンド・アブソリュートリターン部門責任者のジェームズ・マカレビー氏は予想。世界的な貿易戦争の激化懸念も安全資産需要を急増させており、円相場への追い風が強まるという。

  マカレビー氏は3日のインタビューで、「日銀が引き締めを行っているのは、インフレがもう少し持続的だと見られるからだ」と指摘。円は現在「以前には見られなかったような形で『リスク回避』の日々に反応している」と付け加えた。

  トレーダーの間では、米国との金利差拡大の犠牲になり4年連続で下落した円が割安だと長らく受け止められていた。しかし、経験豊富な投資家でさえ、円を買うタイミングを何度も見誤っており、円を巡るセンチメントが依然として不安定なことが浮き彫りになっている。

  円は極端な日米金利差で昨年7月には対ドルで数十年ぶりの安値161円95銭まで下落したが、徐々に回復し今週は150円前後で推移している。ヘッジファンドも弱気姿勢を後退させており、円のネットショートポジションは10月以来の低水準となったことが、商品先物取引委員会(CFTC)の最新データで明らかになっている。

  日米金利差が縮小するというマカレビー氏の見通しは、金利スワップ市場の値動きからも裏付けられる。トレーダーらは米金融当局が年内にさらに0.75ポイントの利下げを実施し、日銀は同期間に0.25ポイント以上の利上げを行うと見ている。経済データもこの見方を裏付けている。東京都区部消費者物価指数は日銀の目標値を上回る伸びが続いた一方、米国では個人消費と製造業が落ち込みスタグフレーションに近づいていることが示されている。

  ただ、15%の円上昇には、より強力な追い風が必要になるかもしれないとマカレビー氏は言う。「そうなるには、為替相場はもっと不安定になろう。全面的なドル安基調になる必要がある」と述べた。

原題:Yen May Rise 15% on Rates, Haven Bets, BNP Paribas Asset Says(抜粋)

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