欧州に資金シフトの動き、米資産への懸念で=米大手行幹部
米金融大手ゴールドマン・サックスやJPモルガンの幹部らは、顧客の欧州への資金移動を支援する傾向が高まっているとの認識を示した。(2025年 ロイター/Dado Ruvic/Illustration)
[ロンドン 21日 ロイター] - 米金融大手ゴールドマン・サックス(GS.N), opens new tabやJPモルガン(JPM.N), opens new tabの幹部らは、顧客の欧州への資金移動を支援する傾向が高まっているとの認識を示した。資産運用担当者に対し、米国資産の耐性に関する問い合わせが増加しているという。今週ロンドンで開催された複数のメディアイベントで発言した。
トランプ米大統領の相互関税上乗せ分の90日間停止の期限が迫る中、投資家らは貿易摩擦に起因する市場混乱の拡大に備えているとした。
幹部らは、エコノミストらが米国経済の先行きに対する見方を下方修正したことで、一部の投資家が金や欧州の株式・債券などの安全資産に逃避し、米国資産は4月に急落したと説明。
トランプ大統領が一部の関税政策を緩和して以来、市場は回復基調にあるものの、信認の回復は部分的でしかないとの見方を示した。
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント(GSAM)の顧客ソリューション・グループ責任者、マット・ギブソン氏は「一般的な顧客は、対米投資を減らし、その分を欧州やアジアに振り分けることを検討している」と指摘した。
JPモルガン・アセット・マネジメントの幹部らも、ドイツなどの国々が大規模な財政支出計画を発表したことを受け、民間資産への投資を含め、欧州への関心が高まっていると言及。
プライベート市場担当副責任者、ブランドン・ロビンソン氏は「欧州への投資に関する問い合わせは確実に増えている」と述べた。
調査会社モーニングスターのデータによると、欧州の投資家は年初来、予測不能な米国の政策を背景にポートフォリオを分散させており、米国から欧州に特化した上場投資信託(ETF)へと投資をシフトしている。
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