ゼレンスキー大統領、ウクライナ軍兵士の報酬支援を欧州に要請へ
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアの侵攻に対して戦っている兵士の報酬を改善するための資金支援を欧州の支援国に求める計画だ。兵士不足の深刻化を緩和する狙いがある。
ゼレンスキー氏は24日、キーウで記者団に対し、「これまで欧州諸国は兵器調達の資金を提供してきたが、ウクライナ軍兵士の給与向け資金の提供を拒んでいた。しかし、我々の兵士こそ、全ての人々を守る兵器になり得る」と語った。
3年半に近づく戦争への疲れが市民の間に広がる中で、徴兵活動はますます不人気となっている。そこで政府は、高額の報酬を提示することでより多くの志願兵を募りたい考えだ。ロシアは早くからこの手法を採用して毎月数万人の志願兵を集めており、プーチン大統領が2022年9月に「部分動員」をかけた時のような市民の不安が急速に高まる事態を防いでいる。
兵士への報酬を引き上げれば、大規模な軍事支出で昨年の財政赤字が国内総生産(GDP)の20%を超えた政府予算をいっそうひっ迫させる。ウクライナは数百億ドルを外国の支援に依存しているが、支援国は今のところウクライナの軍事支出を直接負担することには応じていない。
ウクライナのスビリデンコ首相はブルームバーグとのインタビューで、160億ドル(約2兆3500億円)相当の融資プログラムを提供する国際通貨基金(IMF)が財政赤字の縮小を求めていると明かしながらも、政府としては増税を行う計画はないと述べた。今後2年間で必要とされる750億ドルの予算のうち、外国からの支援でこれまでに確保できたのは半分程度にとどまっているとも語った。
ゼレンスキー氏によると、ドローンや電波妨害装置、ミサイルなどの防衛生産にウクライナは年間250億ドルが必要で、これにより来年の財政赤字は650億ドルに達する。
同氏は兵士の報酬資金について、欧州委員会のフォンデアライエン委員長、北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長、マクロン仏大統領、スターマー英首相、米政府関係者とすでに協議を開始していると述べ、「非常に難しいテーマだ」と付け加えた。
ウクライナ国内では、迎撃用ドローンの製造がすでに始まっている。生産拡大には緊急に約60億ドルが必要だと、ゼレンスキー氏は語った。
戦況についてゼレンスキー氏は、ロシア軍の前進を止めるうえで「確かな進展」を遂げていると発言。北東部スムイ州の情勢は著しく改善したとしつつ、ロシアは引き続き同州やポクロウシク方面への支配地拡大を重視しており、ドニプロペトロウシク州は「ロシアが強く欲している地域」だと語った。
また、今週イスタンブールで行われたロシアとの第3回和平協議について、プーチン大統領との会談を準備する方向へ一定の前進があったと述べた。
一方、ロシア当局者は、戦争終結のための合意を結ぶ前に首脳会談を行う意味はほとんどないとの立場を示している。
原題:Zelenskiy Plans to Ask Europe for Help to Pay Ukraine’s Soldiers(抜粋)