役職定年を迎えて、家でも職場でも「頼られる」ことが無い50代後半の私。この不安をどうしたらいい?

役職定年を迎え、家でも会社でも頼られなくなった私。このまま社会に置いていかれるのではと不安です…。そんな読者からのお悩みに答えるのは公認心理師の永藤かおるさん。永藤さんはメルマガ『公認心理師永藤かおるの「勇気の処方箋」―それってアドラー的にどうなのよ―』の中で、「不安や恐怖におびえている場合じゃない」として、2つのことを考えるように回答しています。

自分が社会に置いていかれる恐怖

Question

50代後半男性会社員。

同い年の妻と二人暮らしです。子ども二人は社会人になり、家を出ました。

昨年役職定年を迎えました。

会社には65歳まで残ることはできますが、給与体系が変わり、以前より3割収入が少なくなり、いわゆる平社員扱いになりました。

今までずっと自分を鼓舞して働いてきました。

結婚してからは家族のためと思って頑張ってきました。

30代、40代のころは、子どもも小さかったし、妻と共働きで一緒に頑張ってきたつもりです。

小さいながらも一戸建てを買ったし、子ども二人も大学まで奨学金なしで出しました。

仕事でも、家庭でも、「頼られているな」ということが実感できたし、それが嬉しかったんだと思います。

今、子どもたちも巣立ち、そして会社でも、誰かに頼られるようなことはありません。

むしろうっとうしがられていることがわかります。

先日も、経費精算のシステムが変わったのですが、よくわからなくて2~3度質問したら

「これくらいできるようになってくださいよ」

と言われ、厄介者扱いされました。

家でも妻は、

「もう子育ても終わったし、学費の心配もないし、家のローンもめどがついたし、これからは自由にやろうね!」

と、なんだか楽しそうに浮かれています。

妻は社交的で、友人も多く、多趣味です。

今まではお金がかかるからと我慢していたクラシックやオペラを鑑賞したりしているようです。

誘われて何度か一緒に行ったのですが、私は毎回寝てしまうので、チケット代がもったいなくて

「僕はいいよ」

と言ってしまいました。

旅行なども、私はあまり興味がないです。

でも、このままでは、私は確実に社会から、家族から置いていかれるという恐怖があります。

どうしたらいいのでしょうか?

永藤さんからの回答

投稿者さん、本当に長い間、お仕事お疲れさまでした。

まだお仕事続けていらっしゃることも重々承知ですが、とにかくこの年齢まで、よくがんばってきました。

まずはそれをお伝えしたいです。

その上で、「社会から、家族から置いていかれる恐怖」がある、ということは、これからも頼りにされたい、頼りにされる自分でいたい、と思っていらっしゃるということですよね。すばらしいじゃないですか。

私なんぞはぐーたらだし、わがままだし、勝手な人間なので、隙あらば仕事をさぼりたいと思うタイプ。

頼りにされるとその責任の重さにヒーコラ言ってしまう性質です。

なので、投稿者さんのような立派な志をお持ちの方がキラキラまぶしく見えてしまう。

「どうしたらいいのでしょうか?」

という質問の答えですが、個人的に思うことは二つ。

(1)気が乗らないことをする必要はない(2)投稿者さんの知恵や力が活かせる場に行けばいい

まず(1)ですが、気が乗らない誘いに応じる必要はなく、自分にとっての「楽しいひとり時間」を探してみるのはいかがでしょう?

あなたのパートナーさんはクラシックやオペラで心の栄養補給ができる方。

人間にとって、心の栄養補給はとても大切で、そして人それぞれ違う補給方法がある、というものです。

なので、「今さら」なんて言わないで、「自分の好きなもの探し」を始めてみるということ。

過度な飲酒やギャンブルは身を持ち崩すからやめておいた方がいいですが、身も心も健康になる、「気が乗る」ものが見つかるといいですね。

そして(2)ですが、老後のお金の心配がないのであれば、今の会社に居続ける必要はなく、もっと投稿者さんの知恵や力が活かせる場所が探せると思うのです。

今よりももらえる額は少なくなるのかもしれませんが、地域のボランティアなど、困っている方に手を差し伸べるような、その方たちの役に立つような仕事は、恐らく50代の投稿者さんのような「若い」方が、喉から手が出るほど欲しいのでは?

「ありがとう、あなたがいてくれて助かった」「頼りにしてますよ!」

そんな声を掛けてくれる場所は、必ずあると思うのです。

今いる世界だけではなく、ちょっとだけ外に出てみて、知らなかった場所を探検するだけで、自分の意識は変わります。

不安や恐怖におびえている場合じゃないです。

どうやって探すかって?

あなたの手のひらにはスマホが、目の前にはパソコンがありますよね?

幸運を祈ります!

この記事の著者・永藤かおるさんのメルマガ

初月無料で読む

image by: Shutterstock.com

  • この記事が気に入ったらいいね!しよう

    MAG2 NEWSの最新情報をお届け
  • 関連記事: