新たな津波情報「欠測」とは 7月24日から運用開始へ

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気象庁は7月24日の正午から津波の観測に関する情報として、新たに「欠測」を追加します。

耳慣れない「欠測」という言葉、どのように伝えられ、私たちはどう受け止めればいいのでしょうか。

■「欠測」って何?

大きな地震が起きて津波が発生する場合、気象庁は全国に設置されている地震計のデータを元に震源や地震の規模を素早く推定し、地震から3分ほどで大津波警報や津波警報・注意報を発表します。

どこにどのくらいの高さの津波が来ると予想されるのか、いつごろ到達するのかといった情報のあとに、沿岸で実際に観測された津波の高さの情報がもたらされます。

「命を守るための避難」を呼びかけるこういった情報は、気象庁が配信する電文を受け取った報道機関や行政によって速やかに住民に伝えられます。

今回、津波の情報に、新たに「欠測」が加わります。

「欠測」とは、沿岸の観測点で「何らかの理由」により津波の観測データが得られなくなっていることを意味します。
能登半島地震の緊急放送  輪島港は1.2m以上と発表された

■「欠測」"何らかの理由"

去年元日の能登半島地震では、発生から2時間後に気象庁が会見を開きました。

その中で、石川県珠洲市長橋の観測点で発生直後から津波のデータが入ってこないことや、輪島港で1.2メートルを観測して以降のデータが分からなくなっていることが説明されました。  

この会見の時点では、なぜ正常に観測ができないのか理由は分かっていませんでした。

その後の調査で珠洲市長橋は、海底が露出するほど地盤が隆起したことで観測不能になっていたことが分かりました。

観測点の真下の海がなくなり、データが取得できなくなっていたのです。

また、輪島港でも地盤が隆起し1.2メートル以上とされていた観測値が取り消され「欠測」として扱われました。

地盤の隆起や沈下以外にも、巨大な津波により観測点が破壊された場合や観測機器の故障、通信障害など「欠測」となる理由は様々です。

速報として「欠測」が伝えられるケースは、大きく分けて3つあります。

2 津波を観測できていたが、途中から観測できなくなる
3 メンテナンスなどの理由でもともと観測が停止している 

では、自分が暮らす地域で「欠測」となったら、どのように受け止めればいいのでしょうか。

■「津波観測不能」速やかに伝える狙い

これまでは、沿岸の津波観測点から正常なデータが来ない場合、テレビなどで、その観測点の情報が伝えられることはありませんでした。

このため、

「自分が暮らす地域には津波が来ていないから大丈夫」

「避難はしたが、津波を観測した情報がないので家へ戻ろう」

といった判断をしてしまう人がでる懸念がありました。

しかし、実際には、正確に測れないだけで津波が来ている恐れがあるのです。

気象庁は、この「欠測」をあえて発表することで 「観測できないだけで津波が来る危険はある」 「家に戻りたいが、別の場所には津波が来ているので避難を続けよう」

といった自分の命を守る判断、行動につなげてほしいとしています。 

津波は何度も押し寄せます。

大津波警報や津波警報が発表され、解除されるまでの間は高台など安全な場所に避難してください。

テレビ朝日では、7月24日の運用開始に向けて「欠測」を緊急放送の中で、どのように視聴者に分かりやすく伝えるか、現在検討しています。

報道局ニュースセンター 災害担当 柳澤陽介


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