財務省は30年超の日本国債発行停止を-UBSアセットのジャオ氏
- 人口動態の変化で超長期国債の需要が減少していると指摘
- 国債急落、ゆがんだ債券市場を正常化する難しさ浮き彫りに
日本の国債市場でボラティリティー(変動性)を抑えるには償還期間30年を超える国債の発行を停止すべきだ。UBSアセット・マネジメントのベテランのポートフォリオマネジャーがこう主張している。
40年国債利回りは5月、3.675%に上昇し、過去最高を更新した。
同社グローバル国債・為替部門責任者のケビン・ジャオ氏は、こうした動きを受け財務省は期間が長い国債発行を終了すべきだとインタビューで指摘。日本の高齢化に伴う人口動態の変化で超長期国債の需要が減少しているとの見方を示した。
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日本の生命保険会社や年金勢は、かつてのように30年以上の債券を大量に保有する必要がなくなっているとも同氏は指摘。ベビーブーマーの平均余命が、現在20年前後であることが背景という。
「期間の長い国債への構造的な需要の変化を財務省が認識すべき時だ」とした上で、「需要がない以上、30年を上回る国債の発行はやめるとアナウンスすべきだ」と語った。
国債相場急落は、長年のゼロ金利やマイナス金利の下でゆがんだ債券市場を正常化する難しさを浮き彫りにしている。日本銀行は利上げに動き始めたものの、利回り曲線は急速にスティープ(傾斜)化している。
先週実施された40年国債入札では、投資家需要の強弱を反映する応札倍率が2024年7月以来の低水準となった。市場の注目は5日の30年国債入札だ。
超長期債利回りの上昇を背景に、財務省は国債市場参加者に国債発行に関する意見を尋ね始めている。
ジャオ氏は、超長期債市場への圧力を和らげるには、日銀が7月の金融政策決定会合で前回1月以来の利上げを実施すべきだと主張。半年ごとの利上げの可能性を市場に示唆することになり、市場はその恩恵を受けて利回り曲線がフラット(平たん)化するとの見方を示した。
原題:UBS AM Says Japan Should Stop Issuing Long Bonds to Halt Selloff(抜粋)