人の顔を覚えてくれるAIグラス「HTC Eagle」は期待値で見てあげて

AIグラス、かなり増えてきましたね。

ただ、いまのAIグラスって、メガネだけで何でも処理する小型コンピューターではなく、フロントエンドデバイスAI処理はスマホ側に任せて、メガネ側はカメラ、マイク、スピーカー、ボタン、音声操作をカバーするインプット/アウトプットを担当する製品が中心です。

Photo: 武者良太

HTC NIPPONが4月に日本で発表した「VIVE Eagle」も、その流れにあるAIグラスです。ディスプレイはなし。見た目はサングラス寄りで、写真・動画撮影、音楽再生、通話、翻訳、AIアシスタント、AIメモができます。

価格はサングラス/クリアレンズモデルが税込8万2500円、調光レンズモデルが税込9万8000円。正直な気持ちを言っちゃうと「いいお値段」がします。

先日にはMetaが299ドルからのAIグラスを発表しました。日本での発売は未定ですが、ディスプレイなしAIグラスの価格帯は確実に下がり始めています。また10万円前後ならディスプレイ付きも選択肢に入る。そういう時代に、8万円台のVIVE Eagleをどう見るか。

日本人が、毎日かけられるメガネ

Photo: 武者良太

VIVE Eagleを評価するとき、最初に見るべきはAI性能ではないかも

AIグラスって、机に置いて使うガジェットじゃないですよね。顔に載せるし、人前で使う。服や靴に近い感覚のウェアラブルガジェットです。どれだけ性能よくても、見た目が気になる、鼻が痛い、長時間かけたくなくなると、スペックがよくても使えない。

さてVIVE EagleはZEISSレンズを採用していて、度付きレンズ交換にも対応。店頭での試着・体験も可能です。つまりHTCはこれを、高級アイウェアとして売ろうとしているんですよね。

これ、結構重要なポイントじゃないでしょうか。

重量はMサイズが48.8g、Lサイズが51.5g。スマートグラスとして軽い部類です。ノーズパッドは調整しやすく、鼻が低めでも合わせやすい作り。個人的には数時間かけ続けていても疲れなかったので好印象。

もちろん、顔のカタチによって印象は大きく変わるので、気になる方はぜひ店頭で試してみて。

スペックは現行AIグラスのなかでは良いほう

Photo: 武者良太

チップセットはQualcomm Snapdragon AR1 Gen 1、メモリ4GB、ストレージ32GB。カメラは1200万画素の超広角で、写真は3024×4032ピクセル、動画は1512×2016/30fpsで記録できます。防塵・防水はIP54で、バッテリーは235mAh(音楽再生最大4.5時間、通話3時間以上)。

AIはGoogle GeminiOpenAI GPT対応していて、録音・文字起こし・話者識別・要約ができますよ。ただし基本的にはスマホとのBluetoothペアリング&モバイル回線が必要です。

利用できる機能そのものは、既存のディスプレイなしAIグラスと同等といっていいかも。Qualcomm Snapdragon AR1 Gen 1の処理能力を活かしたら、もっといろいろできそうではあるけど

カメラはエントリースマホ級。でもそれでいい

Photo: 武者良太

正直に言います。カメラ画質は、高級スマホの超広角カメラ部には勝てません。同価格帯の超広角カメラと比較しても、ちょっと落ちるかな。動画を見るとわかるんですけど、補正が甘い。格安スマホの超広角カメラ級として捉えたほうがよさそうです。

Photo: 武者良太

とはいえ、目の前の看板を読む、メニューを翻訳する、商品を確認する、メモ代わりに撮る。こういう用途ではすぐ撮れることのほうが効いてきます。スマホをポケットから取り出して、ロック解除して、カメラ起動しているうちに撮りたい瞬間って終わることありますから。

作品を撮るためのカメラじゃなくてAIに状況を渡すためのカメラ。そう割り切れると、アリです。

音は素直によい

意外と好印象だったのが音。

オープンイヤー型スピーカーなので、耳をふさがずに音楽を聴けます。周囲の音も消えないので、歩いているときの安心感もあります。イヤホンをしていない感覚のまま音が出てくる、というのは独特の気持ちよさがありますね。

騒音の少ない場所を散歩しながら音楽を聴いたり、音声AIに話しかけたりする使い方とはかなり相性がいいです。

ただし音漏れはあります。静かな電車内やカフェでは音量に気を使う必要があるし、うるさい場所では音声認識も不安定になります。活きる場面と活きない場面がはっきりしている感じです。

Photo: 武者良太

充電はマグネット式の専用ケーブルです。接続しやすいのはわかるし、メガネという形状を考えると専用端子にした理由も理解できます。

でも、外出先でケーブル忘れたら充電できない。USB Type-Cケーブルを1本持っていればどうにかなる、という安心感がない。毎日使うことを前提にした製品なのに、心理的ハードルがちょーっと高いかな。

VIVE AI Notesは期待していたけどちょっと残念

会話を録音して、文字起こしして、話者を識別して、要約してくれる。これがメガネでできる。会議、取材、打ち合わせ、セミナーなど、記録を残したい場面ってたくさんありますよね。スマホを机に置いて録音するより、メガネで録るほうが自然な場面もあります。

取材や打ち合わせが多い人にとって、メガネが議事録を取ってくれるなら、8万円台も話が変わってきます。

ただ現時点ではまだ発展途上です。日本語の認識や文字起こし精度はまだまだレベル不足。取りこぼしもあります。

人物認識は、技術も社会も追いついていない

人物認識機能もあります。会った人をメガネ(というかスマホ)が覚えてくれる、という発想はおもしろいんですが、試した感じは期待どおりには動きませんでした。取材現場、友達との飲み会時にも試してみたけど、どうにもダメ。唯一成功したのは、駅構内のポスターでした。まあ、同じ表情だもんな...。

それより気になるのは、社会の受け止め方のほうです。カメラ付きメガネで人を認識することへの周囲のコンセンサスが、まだできていない。撮影中はLEDが光る仕組みはありますが、スマホ写真への社会的な慣れと同じ感覚では使えないし、許してくれない人も多いでしょう。

技術的に実装できると、使っていいはまったく別の話。今のところはそこを慎重に見ておく必要があります。

やっぱり高い。でも期待値はある

改めて記すと、8万2500円からのVIVE Eagleは高いです。

それでも、VIVE AI Notesが仕事で使えるレベルまで育てば、これはビジネスコミュニケーションを記録する仕事道具に変わります。その進化を信じて8万円台を出せるか。それがこの製品の購入判断の核心ではないでしょうか。

Source: HTC

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