ザックから落下、ファスナー閉め忘れ…原子力規制庁の「業務用スマホ」紛失の実態…数日気付かないケースも

今年1月、原子力規制庁の職員が、中国で緊急時の連絡で使用する業務用の防災携帯電話(防災スマホ)を紛失したと報じられた。

弁護士ドットコムニュースが情報公開請求で内部文書を入手したところ、紛失はほかにも複数回発生していたことが判明した。今回は、開示文書から見えてきた実態を紹介する。

●紛失の時間や場所、報告時刻は黒塗り

原子力規制庁の職員は、どのような経緯や状況で防災スマホを紛失していたのか。

開示文書には黒塗りされた部分も多いものの、全体を整理すると、いくつかの共通したパターンが見えてくる。

ある職員は、防災スマホを身につけず、ザック(アウトドアなどで使用するバックパック)の開放部(チャックで閉まっていない部分)に入れていたという。

時期や場所はマスキングされており不明だが、ザックから防災スマホを落としたまま帰宅し、その後、紛失に気づいたようだ。

別の職員は、ベルトに装着したホルダーに防災スマホを収納した際、ホルダーの上蓋がしっかり閉まっていない状態だったといい、立ち上がった際に端末が落下したと推定されていた。

●出張や研修後に紛失したケースも

紛失した職員の一人は、勤務時間中は防災スマホをカバンの中に、勤務時間外はショルダーバッグに入れて持ち歩いていたという。

しかし、ショルダーバッグのファスナーを閉めていなかったため、「防災携帯が意図せず出てしまったものと考えられる」と報告されていた。

また、出張や研修中に端末を紛失したケースも確認された。

あるケースでは、出張先のホテルで充電する際に防災スマホの所在を確認したのを最後に、その後、出勤前になって紛失に気づいたという。

別の職員は、研修を終えてホテルを出発した後に紛失していた。

●「緊急参集タクシーチケット」も同時に紛失

中には、防災携帯とともに「緊急参集用タクシーチケット2枚」をなくしていた職員もいた。

このチケットは、深夜や早朝の非常時でも職員が速やかに職場に集まれるように用意されているものとみられる。緊急時の連絡手段と移動手段を同時に失うケースもあったようだ。

●再発防止策「毎日確認する」

開示された6枚の報告書には、いずれも「再発防止策」が記されていた。

「防災携帯を可能な限り身近に装着するようにする」  
「移動の都度、防災携帯の携行を確認する」  
「毎日、防災携帯の所在を確認する」  
「今後は、必ずショルダーバックのファスナーが閉まっていることを確認する」

●紛失自体に気づかず…報告が遅れたケースも

気になるのは、紛失そのものに気づかなかったり、発覚までに時間がかかったりするケースもあったことだ。

ある報告書には、発覚が遅れた原因として、「遠隔地であり参集困難であることを理由に、日に一度の防災携帯確認を数日に亘って怠っていたこと」と記されていた。

防災スマホ紛失に関する開示文書の中には、内閣情報調査室に報告されていたケースもあった(2026年4月、弁護士ドットコムニュース撮影)

また、防災スマホをショルダーバッグに入れて携帯していた職員は、飲食店から歩いて約3キロ離れた自宅に向かう途中にコンビニへ立ち寄り、帰宅後に紛失に気づいたという。

その後、自らコンビニなどを捜索したものの見つからず、関係部署に連絡したとされる。

報告書には「紛失自覚から関係者への通報に時間を要した。理由としては何とかして自力で確認することを優先したため連絡が遅れた」と書かれている。

今年1月に報じられた中国のケースでも、職員は「紛失に3日後に気づいた」とされていたが、国内でも同様の事例が記録されていた。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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