ネットカジノで過去最高賭け金280億円、常習賭博容疑で会社員逮捕…勝った様子など投稿し宣伝報酬

 海外のオンラインカジノで賭博を繰り返したとして、警視庁が、カジノサイトを宣伝して報酬を得ていた「アフィリエイター」の男を常習賭博容疑で逮捕したことが28日、捜査関係者への取材でわかった。2022年夏以降の賭け金総額は約280億円に上るといい、オンラインカジノを巡る賭博事件の個人の賭け金としては、過去最高額とみられる。

アフィリエイターの仕組み

 捜査関係者によると、逮捕されたのは、福島県いわき市の会社員の男(38)。22年8月~今年4月、中米・オランダ領キュラソー政府からライセンスを得ているカジノサイト「ステークカジノ」に、国内からスマートフォンで接続し、バカラ賭博などに計約9000万円を賭けた疑い。逮捕は27日。

男が利用していた日本語のカジノサイト

 男は、X(旧ツイッター)で「明鏡止水」と名乗り、同カジノのバカラ賭博で勝った様子の画像などを投稿していた。XにサイトのURLを貼り付け、閲覧者を誘導していた。

 同カジノは、サイトを宣伝するアフィリエイターに、獲得した新規利用者の賭け金に応じて報酬を支払う仕組みを設けていた。男は、数十人分の紹介料にあたる計約700万円の報酬を得ていたという。

 サイトを宣伝する一方、カジノの勝ち分を元手に賭けを繰り返していたとみられ、最終的な収支は数千万円のマイナスだった。

 警察庁が3月に公表した調査結果によると、同カジノは16か国の言語に対応しており、アクセス数は24年8月からの3か月間で約2億2000万回に上った。

運営手助けする「アフィリエイター」

 警察庁の調査で、国内経験者が約337万人と推計されたオンラインカジノ。 蔓延(まんえん) する背景には、運営元を手助けするアフィリエイターの存在が指摘されてきた。

 政府は対策強化に乗り出しており、今国会中の成立を目指すギャンブル等依存症対策基本法改正案には、サイトに誘導する広告の掲載や、SNSなどでのサイトへの誘導行為を禁止することが盛り込まれた。

 捜査関係者によると、インターネット上には、カジノ体験を実況中継するユーチューブの動画や、各サイトを紹介する「まとめサイト」が乱立してきた。個人の感想を装って宣伝する「ステルスマーケティング」が潜んでいるとみられる。

 警察当局はアフィリエイターの摘発を進めており、埼玉県警は昨年9月、自身のユーチューブチャンネルでカジノサイトを紹介していた30歳代の女を常習賭博ほう助容疑で逮捕した。岡山県警に今年1月に摘発された男女4人は、約20のカジノ運営会社と契約を結び、誘導した客の負け分の一部を受け取っていたとみられている。

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