米死刑囚、薬物を2度投与されるも生き延びる 死刑失敗、何が問題だったのか?
クリスタ・パイク死刑囚/TEXAS DEPARTMENT OF CRIMINAL JUSTICE
(CNN) 死刑執行用の薬物を2度投与されながら、なぜ生き延びることができたのか――。クリスタ・パイク死刑囚の刑執行に失敗した米テネシー州はいま、この問いについて調査を進めている。
死刑執行が始まる前から、問題を予見させる兆候はあったのかもしれない。弁護団によると、パイク死刑囚は静脈が異例なほど細かった。
地元テレビWKRNのアンカーによると、執行当日の7時34分、パイク死刑囚は「腕が破裂しそう」と訴えた。そして腕の1カ所について話し始め、「これが普通なの? この部分…」と質問したという。
アンカーは 「その後は聞き取れなかった。付き添いのアドバイザーが『リラックスして』と言うと、彼女は『そうしようとしてる』と答えた」と振り返る。
パイク死刑囚が腕に感じた異変と、刑執行の失敗に関係があったのか、今のところ分かっていない。ただ、弁護団は今年1月の時点で懸念を示していた。弁護団の依頼を受けた医療専門家から、パイク死刑囚は静脈が細いため、注射のルートを確保したり、維持したりする際に問題が起きるリスクが高いとの指摘があったという。
もっとも、今回それが起きたことを示す証拠はない。立ち会った人から針を入れる様子は見えず、注射のルートに問題があったかどうかも分からなかった。
テネシー州によると、執行チームは既定の手順をすべて守っていた。1回目が失敗した場合を想定した手順もあり、その時は当局者が2回目を投与することになっていた。実際、2回目を投与したが、パイク死刑囚はまだ生きていた。
地元メディアWPLNの記者は、「これは大量の鎮静薬だ。本来なら2度も投与する必要はないはずだが、実際に2度注射が行われ、それでも彼女は生きていた」と説明する。
ここから先については、テネシー州の手順に定めがなかったとみられる。2回目の注射後も死刑囚が生存していた場合にどう対応するか、州の手順では明記されていない。
専門家によると、執行チームが致死薬を投与する静脈を確保できず、生き延びたという死刑囚は過去に7人いる。
実際、パイク死刑囚の刑執行が試みられるわずか数カ月前にも、テネシー州でそうした例が起きていた。当局者は1時間以上にわたって静脈注射を試みたものの成功せず、執行を断念した。
だが、パイク死刑囚のケースは前例がないとみられる。米死刑情報センターによると、執行用の薬物が実際に投与されたにもかかわらず、死刑囚が絶命しなかったケースはこれまで確認されていない。
パイク死刑囚は救急車で病院に搬送され、弁護団によると、現在は治療を受けている。現時点の容体は公表されていない。テネシー州の知事は年内の死刑執行を停止すると表明しており、独立した調査で何が問題だったのかを特定する方針だ。