NY市場サマリー(14日)ドル弱含み、利回り低下 株まちまち CPIに注目
<為替> ドルが対ユーロで弱含みとなった。ただ、この日発表された12月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)の伸びが加速したことで、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ期待が縮小。ドルは依然として約2年ぶりの高値付近にある。
ドルは取引後半に上げ幅を縮小した。トレーダーらは15日発表の消費者物価指数(CPI)待ちで、FRBの利下げに対する慎重姿勢を裏付けるかどうかを注視している。
マネックスUSAのトレーディング担当副社長、ヘレン・ギブン氏は「トレーダーらが明日のCPIに備えヘッジを行っている可能性があるため、ドルはやや弱含んでいる」と指摘した。また同氏によると、トランプ次期米大統領が打ち出した関税方針に関するニュースがきょうの価格変動の主な要因となったもよう。
関税に対する懸念とFRBの利下げ幅縮小観測により、米国債利回りは上昇し、ドルは支えられている。ただこの日は、トランプ次期大統領の経済チームが段階的な関税引き上げを検討しているとする新たな報道が流れたことで、市場の焦点は再び米関税に戻った。
ドル指数は0.14%安の109.25。13日に記録した26カ月ぶり高値110.17からは下落した。
ユーロは0.51%上昇し1.0297ドルとなった。
英ポンドは0.04%下落し1.2198ドル。英財政に対する懸念が続いたため、対ユーロでも2カ月半ぶりの安値をつけた。
ドル/円は0.26%高の157.89円となった。トレーダーらは来週の日銀政策決定会合に備えており、市場では利上げの可能性が57%と見込まれている。
NY外為市場:
<債券> 利回りが低下した。この日発表の12月の米PPIは、前年比で伸びが小幅に加速したものの、前月比では予想外に鈍化した。
指標となる10年債利回りは1.7ベーシスポイント(bp)低下の4.788%。 オーバーナイト取引では一時4.805%と、2023年11月以来の高水準を付けた。
2年債利回りは3.7bp低下の4.365%。前日13日には一時、4.426%と昨年7月以来の水準まで上昇した。
2年債と10年債の利回り格差は42.1bp。13日は47.7bpと、22年5月以来の大きさまで拡大した。
クレジットサイツ(ノースカロライナ州シャーロット)のシニア投資適格ストラテジスト、ザッカリー・グリフィス氏は、PPIの結果は予想より幾分良かったと指摘。「FRBは、特に先週10日発表の雇用統計を踏まえ、少なくとも今後数回の会合で、金融政策を据え置くのは明らかだ」と述べた。
市場は、FRBの今後の動向を見極めるため、15日発表のCPIに注視している。
金利先物市場は現在、今月28日─29日まで開催される連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ一時停止を完全に織り込んでいる。LSEGのデータによると、市場は25年の利下げ幅はわずか計30bp、つまり25bpの利下げが1回とみる。2週間前の時点では、利下げ幅は計49bp、25bpずつの利下げが約2回との見方が織り込まれていた。
米金融・債券市場:
ただ、12月の米CPIの発表を15日に控え、その後株価は下げに転じた。
コモンウェルス・ファイナンシャル・ネットワークのチーフ・マーケット・ストラテジスト、クリス・ファシアーノ氏は「金利とFRBの方向性については本質的に不確実性がある」とし、CPIについて「明日の朝に何が起こるか見極めたい」と述べた。
米国株式市場:
<金先物> 市場予想を下回る米PPIを受けて買いが優勢となり、反発した。中心限月2月物の清算値(終値に相当)は前日比3.70ドル(0.14%)高の1オンス=2682.30ドル。
NY貴金属:
<米原油先物> 利益確定の動きに加え需給の緩みを意識した売りが優勢となり、4営業日ぶりに反落した。米国産標準油種WTIの中心限月2月物は前日清算値(終値に相当)比1.32ドル(1.67%)安の1バレル=77.50ドルだった。3月物は0.93ドル安の76.37ドル。
米エネルギー情報局(EIA)が14日付の短期エネルギー見通し(STEO)で2025年、26年は供給が需要を上回り、原油価格は圧迫されるとの見解を示したことも売り材料視された。
NYMEXエネルギー:
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