『脳外科医竹田くん』漫画作者ら不起訴、モデル医師が「名誉毀損罪」で刑事告訴していた件
赤穂市民病院の医療事故をモチーフとしたウェブ漫画『脳外科医竹田くん』をめぐり、主人公のモデルとされる男性医師が、作者らを名誉毀損や信用毀損の疑いで刑事告訴していた件で、神戸地検姫路支部は不起訴処分とした。
医療事故で後遺障害を負った女性の家族が、ブログで明らかにした。
問題となっているのは、病院の医療事故対応などをテーマに描かれたウェブ漫画だ。男性医師は発信者情報開示請求を通じて作者の情報を特定し、刑事告訴や損害賠償請求訴訟をする考えを示していた。
これに対して、作者側は先手を打つ形で、漫画は名誉毀損にあたらないことの確認を求める訴訟を2025年3月、大阪地裁に起こしている。
作者の代理人は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して「捜査機関が正式に調査した結果として起訴に至らなかったという事実は重い」などと述べた。(弁護士ドットコムニュース編集部・塚田賢慎)
●漫画の作者は「被害女性の親族」
発端となった医療事故は、2020年1月22日の手術中に発生した。神経切断損傷という医療過誤により、女性は下肢麻痺などの後遺障害を負った。
女性側は担当した男性医師らに損害賠償を求めて提訴。1審・神戸地裁姫路支部は約8800万円の賠償を命じ、その判決は確定している。
ウェブ漫画『竹田くん』は、2023年1月からほぼ1日1話のペースで連載され、約140話に及んだ。「病院の医療事故対応の問題点」をテーマとして描いたとされる。
当初、作者は匿名だったが、男性医師から法的措置を取られる可能性があるなどを理由に、作者自身が被害女性の親族であることを公表した。
さらに2025年3月、漫画は違法ではなく、名誉毀損にあたらないことの確認を求める訴訟を大阪地裁に起こした。
その後、男性医師は作者らを名誉毀損罪などで刑事告訴していたが、今回、不起訴処分となった。
●作者側代理人「民事訴訟においても裁判所の心証に影響があるもの」
刑事事件の不起訴決定を受け、作者代理人の平野敬弁護士は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、民事訴訟にも影響する可能性があるとの見方を示した。
「刑事告訴は、漫画『脳外科医竹田くん』が名誉毀損にあたるということを理由になされたものであり、債務不存在確認請求訴訟で争われているのと実質的に同じ争点をめぐるものです。
むろん刑事と民事とでは判断基準が異なりますから、刑事で不起訴になったからといって、直ちに民事でも違法性なしとは断言できません。
しかし捜査機関が正式に調査した結果として起訴に至らなかったという事実は重く、民事訴訟においても裁判所の心証に影響があるものと考えます」
平野弁護士によると、医師側は民事訴訟の中で反訴を予定しているとの考えを示したというが、現時点で反訴はされておらず、被告側代理人が途中で辞任しているという。
この男性医師をめぐっては、業務上過失傷害罪に問われた刑事裁判も進行中で、判決は来週言い渡される予定だ。
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